Vol.01 「メフィストの誘い」
(マノエル・デ・オリヴェイラ)

1997/2/10

Vol.02 「フィオナの海」
(ジョン・セイルズ)

1997/4/19

Vol.03 「オリヴィエ・オリヴィエ」
(アグニエシュカ・ホランド)

1997/6/17,21
(17日は県民文化ホール21日は中村市立文化センター)

Vol.04 「天国の約束」
(ジェームズ・フォーリー)

1997/9/5,6
(5日は県民文化ホール6日は安芸太平館)

Vol.05 「東京夜曲」
(市川準)

1997/10/17,18
(17日は県民文化ホール18日は安芸太平館)

Vol.06 「ウォレスとグルミット 危機一髪」
(ニック・パーク)

1997/12/4,7
(4日は県民文化ホール7日は安芸太平館)

Vol.07 「GO NOW」
(マイケル・ウィンターボトム)

1998/1/31,2/1
(31日は県民文化ホール1日は安芸太平館)

Vol.08 「NY検事局」
(シドニー・ルメット)

1998/3/21,21
(20日は県民文化ホール21日は安芸太平館)

Vol.09 「カップルズ」
(エドワード・ヤン)

1998/5/19,23
(19日は県民文化ホール23日は安芸太平館)

Vol.10 「ウィンター・ゲスト」
(アラン・リックマン)

1998/7/19,20
(19日は安芸太平館、20日は県民文化ホール)

Vol.11 「キャリア・ガールズ」
(マイク・リー)

1998/8/15

Vol.12 「草原とボタン」
(ジョン・ロバーツ)

1998/10/11,12
(11日は安芸太平館、12日は県民文化ホール)

Vol.13 「ウェルカム・トゥ・サラエボ」
(マイケル・ウィンターボトム)

1998/11/5

Vol.14 「ヴィゴ」
(ジュリアン・テンプル)

1999/1/25

Vol.15 イギリス カルト映画傑作選
 「バタフライ・キス」
 (マイケル・ウィンターボトム)

 「ウィッカーマン」
 (ロビン・ハーディ)

1999/2/2

Vol.16 「アイ・ウォント・ユー」
(マイケル・ウィンターボトム)

1999/5/10

Vol.17 「マイ・スウィート・シェフィールド」
(サム・ミラー)

1999/7/9,10
(9日は県民文化ホール10日は安芸太平館)
※安芸太平館は映写機の不調により途中中断

Vol.18 暑気払い、日米ホラー対決!
 「ブレイド」
 (スティーブン・ノリントン)

 「女優霊」
 (中田秀夫)

1999/8/13

第6回あたごファンタスティック映画祭
 「大阪物語」
 (市川準)

 「フェイス」
 (アントニア・バード)

 「ダーク・スター」
 (ジョン・カーペンター)

1999/9/10

Vol.19 モノクロームの誘惑と美学
 「トゥエンティフォー・セブン」
 (シェーン・メドウス)

 「マンハント」
 (フリッツ・ラング)

1999/10/27

Vol.20 「マイ・ネーム・イズ・ジョー」
(ケン・ローチ)

1999/11/20

Vol.21 「輝きの海」
(ビーバン・キドロン)

2000/1/8

Vol.22 「コキーユ 貝殻」
(中原俊)

2000/2/14

Vol.23 「地雷を踏んだらサヨウナラ」
(五十嵐匠)

2000/3/20

Vol.24 「ハイロー・カントリー」
(ステーブン・フリアーズ)

2000/4/14

あなたの知らないオーストラリア
 「ラブ・セレナーデ」
 (シャーリー・パレット)

 「ハーモニー」
 (マーク・ジョフィ)

2000/6/21

鯨も笑う高知コメディ映画祭
 「親指スター・ウォーズ」
 (スティーブ・オーデカーク)

 「親指タイタニック」
 (スティーブ・オーデカーク)

 「丹下左膳余話 百万両の壺」
 (山中貞雄)

 「ラブ・ゴーゴー」
 (チェン・ユーシュン)

2000/8/25

ぼくら20世紀の子供たち
 「アンダー・ザ・スキン」
 (カトリーヌ・アドラー)

 「がんばっていきまっしょい」
 (磯村一路)

 「イゴールの約束」
 (ルック&ジャン=ピエール・ダルデンヌ)

2000/9/30

Vol.25 「ワンダーボーイズ」
(カーティス・ハンソン)

2000/11/15

Vol.26 「ひかりのまち」
(マイケル・ウィンターボトム)

2001/1/19

Vol.27 「オーロラの彼方へ」
(グレゴリー・ホブリット)

2001/3/6

Vol.28 「ヤンヤン 夏の想い出」
(エドワード・ヤン)

2001/5/25


「風花」
(相米慎二) ※高知シネマクラブと共催

2001/6/20

ネクスト・シリーズ1
 「この窓は君のもの」
 (古厩智之)

2001/6/30

Vol.29 「楽園をください」
(アン・リー)

2001/7/19

ネクスト・シリーズ2
 「ルイーズとケリー」
 (ジェーン・カンピオン)

2001/8/26

Vol.30 「東京マリーゴールド」
(市川準)

2001/10/12

Vol.31 「キシュ島の物語」
(モフセン・マフマルバフ他)

2001/11/19

Vol.32 「愛のエチュード」
(マルレーン・ゴリス)

2002/1/5

Vol.33 「いつまでも二人で」
(マイケル・ウィンターボトム)

2002/2/13

Vol.34 「みすゞ」
(五十嵐匠)

2002/3/9

Vol.35 「まぶだち」
(古厩智之)

2002/5/17

Vol.36 「シッピング・ニュース」
(ラッセ・ハルストレム)

2002/6/30

Vol.37 「ラッキー・ブレイク」
(ピーター・カッタネオ)

2002/9/22

Vol.38 「この素晴らしき世界」
(ヤン・フジェベイク)

2002/11/13

Vol.39 「酔っぱらった馬の時間」
(バフマン・ゴバディ)

2002/12/14

Vol.40 「ダーク・ブルー」
(ヤン・スウ゛ィエラーク)

2003/2/21

Vol.41 ネクスト・シリーズ3
 「home」
 (小林貴裕)

2003/4/19

Vol.42 「ブレッド&ローズ」
(ケン・ローチ)

2003/6/21

Vol.43 「めぐり逢う大地」
(マイケル・ウィンターボトム)

2003/7/22

Vol.44 「24アワー・パーティ・ピープル」
(マイケル・ウィンターボトム)

2003/8/29

Vol.45 「ヘウ゛ン」
(トム・ティクウ゛ァ)

2003/9/23

Vol.46 「幼なじみ」
(ロベール・ゲディギアン)

「スウィート・シクスティーン」
(ケン・ローチ)

2003/10/25

Vol.47 「アイリス」
(リチャード・エア)

2003/11/26

Vol.48 「人生は、時々晴れ」
(マイク・リー)

「ぷりてぃ・ウーマン」
(渡邊孝好)

2003/12/11

Vol.49 「名もなきアフリカの地で」
(カロリーヌ・リンク)

2004/1/22

Vol.50 「風と共に散った学校」
(モフセン・マフマルバフ)

「イン・ディス・ワールド」
(マイケル・ウィンターボトム)

2004/2/25

Vol.51 「ムーミン・パペット・アニメーション 第1・2・5章」
(ルツィアン・デンビンスキ他)

「老人と海」
(アレクサンドル・ペトロフ)

2004/3/27

Vol.52 「復活」
(パオロ&ウ゛ィットリア・タウ゛ィアーニ)

2004/4/24

第1回高知ファンタスティック映画祭
 「アンダーワールド」
 (レン・ワイズマン)

 「冬の日」
 (ユーリ・ノルシュタイン他)

 「ホフマン物語」
 (マイケル・パウエル)

2004/5/23

Vol.53 「美しい夏 キリシマ」
(黒木和雄)

2004/6/27

Vol.54 「我が故郷の歌」
(バフマン・ゴバディ)

2004/8/29



Vol.55 「みなさん、さようなら」
(ドゥニ・アルカン)

「ぼくは怖くない」
(ガブリエーレ・サルヴァトーレス)

2004/9/28

Vol.56 ぼくセザール 10歳半 1m39cm
(リシャール・ベリ)

2004/10/9



Vol.57 「私が愛したギャングスター」
(サディウス・オサリヴァン)

マグダレンの祈り
(ピーター・ミュラン)

2004/11/18

Vol.58 油断大敵
(成島 出)

2004/12/16

Vol.59 ドリーマーズ
(ベルナルド・ベルトルッチ)

2005/1/25

Vol.60 白百合クラブ 東京へ行く
(中江 裕司)

2005/2/13

Vol.61 父、帰る
(アンドレイ・ズビャギンツェフ)

2005/3/20

Vol.62 ビハインド・ザ・サン
(ウォルター・サレス)

2005/4/16



Vol.63 「息子のまなざし」
(ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ)

堕天使のパスポート
(スティーヴン・フリアーズ)

2005/5/22

Vol.64 運命を分けたザイル
(ケヴィン・マクドナルド)

2005/6/28

Vol.65 故郷の香り
(フォ・ジェンチイ)

2005/7/22

Vol.66 カナリア
(塩田 明彦)

2005/8/27

Vol.67 ベルンの奇蹟
(ゼーンケ・ヴォルトマン)

2005/9/16

Vol.68 やさしくキスをして
(ケン・ローチ)

2005/10/25

Vol.69 ジョヴァンニ
(エルマンノ・オルミ)

2005/11/16

Vol.70 クレールの刺繍
(エレオノール・フォーシェ)

2005/12/15

Vol.71 亀も空を飛ぶ
(バフマン・ゴバディ)

2006/1/20

Vol.72 「スクラップ・ヘブン」
(李 相日)

2006/2/24

Vol.73 「灯台守の恋」
(フィリップ・リオレ)

2006/3/17

Vol.74 「ブレイキング・ニュース」
(ジョニー・トー)

2006/4/22

Vol.75 「歓びを歌にのせて」
(ケイ・ポラック)

2006/5/16

Vol.76 「美しき運命の傷痕」
(ダニス・タノヴィッチ)

2006/6/25

Vol.77 「白バラの祈り」
(マルク・ローテムント)

2006/7/11



Vol.78 「埋もれ木」
(小栗 康平)

らくだの涙
(ビャンバスレン・ダバー&ルイジ・ファロル)

2006/8/30

Vol.79 「グッドナイト&グッドラック」
(ジョージ・クルーニー)

2006/9/19

Vol.80 「ココシリ」
(ルー・チューアン)

2006/10/17

Vol.81 「美しい人」
(ロドリゴ・ガルシア)

2006/11/9

Vol.82 「ストロベリー ショートケイクス」
(矢崎 仁司)

2006/12/19

Vol.83 「弓」
(キム・ギドク)

2007/1/19

Vol.84 「ジャスミンの花開く」
(ホウ・ヨン)

2007/2/27

Vol.85 「麦の穂をゆらす風」
(ケン・ローチ)

2007/3/15

Vol.86 「敬愛なるベートーヴェン」
(アニエスカ・ホランド)

2007/4/27

Vol.87 「みえない雲」
(グレゴール・シュニッツラー)

2007/5/22

Vol.88 「ヘンダーソン夫人の贈り物」
(スティーヴン・フリアーズ)

2007/6/15

Vol.89 「サラバンド」
(イングマール・ベルイマン)

2007/7/19

Vol.90 「トランスアメリカ」
(ダンカン・タッカー)

2007/8/28

Vol.91 「今宵、フィッツジェラルド劇場で」
(ロバート・アルトマン)

2007/9/14

Vol.92 「サイドカーに犬」
(根岸 吉太郎)

2007/10/16

映画ウィーク・オフシアターパラダイス
 「秒速5センチメートル」
 (新海 誠)

2007/11/12-14

Vol.93 「魔笛」
(ケネス・ブラナー)

2007/11/21

Vol.94 「あしたの私のつくり方」
(市川 準)

2007/12/19

Vol.95 「アフター・ウェディング」
(スサンネ・ビア)

2008/1/29

Vol.96 「長江哀歌」
(ジャ・ジャンクー)

2008/2/27

Vol.97 「僕のピアノコンチェルト」
(フレディ・M・ムーラー)

2008/3/19

Vol.98 「やわらかい生活」
(廣木 隆一)

2008/4/23

Vol.99 「勇者たちの戦場」
(アーウィン・ウィンクラー)

2008/5/28



Vol.100 「君の涙 ドナウに流れ」
(クリスティナ・ゴダ)

「ある愛の風景」
(スサンネ・ビア)

2008/6/24
ミカエルが命じられて無線係を鉄棒で殴り殺す場面で、ムカデを殺すときのことを思い浮かべました。虫でも殺す感触はイヤなものやのに、自分が生きるために味方の人間を自分の手で殺してしまったことは簡単に忘れられんし、乗り越えられんやろう、と思います。自分のためでも、攻撃の応酬はイヤです。事態が泥沼化するだけ。(アンケートより)


「ドナウに・・・」しかまだ見ていませんが、涙が止まりませんでした。史実だから余計に重く感じるのかもしれませんが、オリンピックやスポーツも平和でないとできないことを、北京を前に感じています。(アンケートより)

Vol.101 「ジェリーフィッシュ」
(エトガー・ケレット、シーラ・ゲフェン)

2008/7/29
途中ほんの少し居眠りして、わけわからなくて2度見させていただきました。話は3つの話が織りまぜられていて、平凡な普通の人生の中での苦しい生活や思いが描かれ、心理描写がうまかった。最後までわからなかったのは、アイスクリームのおじさんと、浮き輪をした女の子のことでした。多分、何か人間の心の奥のヒダにある漠然とした思い出や心もとなさの象徴なのかな?と思いました。(アンケートより)

Vol.102 「4ヶ月、3週と2日」
(クリスティアン・ムンジウ)

2008/8/26
自分勝手な自己中が多い中、自分の恋人との関係まで忘れて友人のために尽くす主人公に感激しました。息をのむ展開、よくあるであろう題材に一石を投じた作品ですね。(アンケートより)

Vol.103 「MONGOL」
(セルゲイ・ボドロフ)

2008/9/25
久々に壮大な映画を見ました。幾つもの国と人をまきこんで、今でもこんな映画が出来るのが感激でした。(アンケートより)

Vol.104 「シークレット・サンシャイン」
(イ・チャンドン)

2008/10/29
重いテーマ。彼女に救いはあるのか? かすかな救い(ソン・ガンホ)が希望。イ・チャンドンの作品は「オアシス」「ペパーミント・キャンディー」とこれで3作目。今回も観て疲れた。(アンケートより)

Vol.105 「きみの友だち」
(廣木 隆一)

2008/11/25
全然期待していなかったけど、来て良かった。現代の少年たちの(大人も)孤独が良く描けている。自分らの頃もこうだったのかなあ。(50代)(アンケートより)

Vol.106 「雲南の花嫁」
(チアン・チアルイ)

「トキワ荘の青春」
(市川 準)

2008/12/19
「トキワ荘」良かったです。夕食の約束を守れなかった手塚治虫が出前の差し入れをするシーン。ちょっと泣けました。学生時代の下宿があんな感じだったので、ものすごく身近に感じられました。(アンケートより)

Vol.107 「歩いても 歩いても」
(是枝 裕和)

2009/1/21
本当の家族の映画を観たと思いました。家族の中にある妬みやちょっとした悪意、愛情、すべてが“本当”でした。“いつも少し間に合わない”というのも実感でした。そして、両親に対してちょっとは間に合いたいと思いました。(アンケートより)


前半、樹木希林さんの母親とYOUとのおしゃべりがえんえんと続くとこ、ちょっと退屈な気もしたけれど、実際、実家に帰ったときの私と母のおしゃべりもこれに近く、楽しいようなわずらわしいような・・・リアルだったと言えるかも。泊まった夜の阿部パパと息子の行動、「素直じゃないんだから」と可笑しくかわいかった。ラストのお墓参り、こんなふうにいろんなもの抱えながら、上手くやれないまんま「家族」は続いていくんだなあとちょっと切なく優しい気分になりました。(アンケートより)

Vol.108 「この自由な世界で」
(ケン・ローチ)

2009/2/25
ヒロインたちの激しさ、善良さ、頭の良さ、思慮の足りなさ、その他・・・いつもながらそういう“リアル”な人間模様を見ながら、(映画の出来不出来、etcよりも)「貧困」について考えました。(アンケートより)

Vol.109 「つぐない」
(ジョー・ライト)

2009/3/19
時間が前後する作品は、流れが分からなくなって戸惑うのでちょっと苦手です。戦場であんなに衰弱していたロビーが、次の場面ではキレイな顔してどこかのアパートにいて??となりましたが、作家になったブライオニーの回想+創作だったのですねー。最後まで見て、「つぐない」の意味がやっと分かりました。ブライオニーもロビーのことが好きやっただけやのに、一度の過ちがあんな悲劇を招くとは。(アンケートより)

Vol.110 「エグザイル/絆」
(ジョニー・トー)

2009/4/28
ふだんアクションものは守備範囲外ということにしてあまり好んで見る方ではないのですが、面白かったです。チラシに、この作品には脚本がない、とありましたが、そんな行き当たりバッタリなことで人が観るにたえうる作品ができるんやろか??と思いながら来ました。出てくる人も多くて、登場人物を把握するのもやっとじゃ?と思っていましたが、先にチラシでザッと主要人物を見ていたので、人物がこんがらがることなくストーリーを楽しめました。(アンケートより)

Vol.111 「エレジー」
(イサベル・コイシェ)

2009/5/27
今の生き方で後悔しないか?と自問した。愛するという事をもう一度考えてみたいと思った。(アンケートより)

Vol.112 「ロルナの祈り」
(ジャン=ピエール & リュック・ダルデンヌ)

2009/6/17
ロルナ、クローディらの心境・情動は痛いほど伝わってきた。登場人物全てが、“演じている”と全く感じさせない素晴らしく自然な立ち居ふるまい。生きた人間の姿を存分に感じました。一言で“美しい”と言えない、愛の複雑さ、難しさ、“愛しさ”を見る事ができ、大変良かったです。(アンケートより)



Vol.113 「シークレット・サンシャイン」
(イ・チャンドン)

チェチェンへ アレクサンドラの旅
(アレクサンドル・ソクーロフ)

2009/7/29
「チェチェン」は戦士達の日常生活を垣間見る事ができ、又主演女性は以前NHKTVでチェロリストのロストロポーヴィチ夫人としてある番組で出演していたのを思い出した事でした。「シークレット・サンシャイン」は、ラストシーンのしばらく続く場面については、私の中では難解でした。主演女優・男優2人の演技力は少しの間も飽きさせる事のない見事なもので、この映画のテーマと共に非常に考えさせられるものがありました。(アンケートより)

Vol.114 「その土曜日、7時58分」
(シドニー・ルメット)

2009/8/27
重苦しい気分になった。一言で言うと悲惨。“お金が必要”という一点で軽い気持ちで計画した両親の宝石店への強盗が、よもやこんな結果を引き起こすことになるとは。お父さんはかつてどんなことをしていたのか、詳しくは語られなかったけど、断ち難い負の連鎖。コミカルとは対照的な超シリアスな作品。(アンケートより)



Vol.115 「その木戸を通って」
(市川 崑)

「トゥヤーの結婚」
(ワン・チュアンアン)


2009/9/25
生きているだけで楽しいことが沢山あるなあと思わされる映画でした。(アンケートより)


「トゥヤーの結婚」が良かった! 彼女の考えていることがそのまま伝わってくるようでした。人間の描き方が辛辣じゃないところも好きです。(アンケートより)

Vol.116 「マン・オン・ワイヤー」
(ジェームズ・マーシュ)

2009/10/30
世の中には、意味がなくて役に立たないものもあっていい、やっていい、そういうことを感じさせられました、まあ、しかし誰彼もが彼のような生き方はできないですね。一般的な価値観で彼を見れば相当ずれている。でも、やろうとしていることが明確で、その変人の彼の計画に大真面目に協力する友人たちがいる。奇をてらったことをする変わり者、と彼を知らない多くの人が思ったとしても、彼はアーティストなのだと思います。少なくとも、彼は挑戦し続けることで自分自身と戦っている。(アンケートより)

Vol.117 「ディファイアンス」
(エドワード・ズウィック)

2009/11/17
ナチスと闘ったユダヤ人がいたということを初めて知りました。民族の悲哀も感じました。しかし、今イスラエルがパレスチナでしていることは、自分たちがナチスにこうむったことと同じ様に思えます。歴史を教訓にして生きるということは、本当に難しい。(アンケートより)

Vol.118 「ウォレスとグルミット ベーカリー街の悪夢」
(ニック・パーク)

2009/12/22
「ウォレスとグルミット」、初めて見ました。いろんな映画の場面が出てきて、(グルミットはカッコよくて)面白かった〜。観客の皆さんが声を立てて笑ってらしたのも印象的。(アンケートより)

Vol.119 「あの日、欲望の大地で」
(ギジェルモ・アリアガ)

2010/1/22
久々に、入り込んで観れる映画を見ました。内容は倫理観を問われる映画だけど、映画として純粋に楽しめました。時間軸が、これはいつ、という字幕が入らないで頻繁に前後するので、切り替えが難しかったですが、シルヴイア(マリアーナ)の少女時代を演じた子の火をつけて燃え上がった瞬間の表情の演技が最も印象に残りました。セリフがないのに言葉(思い)が伝わってきた。(アンケートより)

Vol.120 「セントアンナの奇跡」
(スパイク・リー)

2010/2/16
とても考えさせられました。味方にもイヤな奴も居れば、敵にも良い人も居たりと・・・かつての戦争映画のような単純さがない分、上映時間も長くなるけど、見応え十分でした。(アンケートより)

Vol.121 「戦場でワルツを」
(アリ・フォルマン)

2010/3/11
映画作成(自己の過去の追求)により、虐殺へのざんげをしていると思う。アニメの最后のみ実写を入れている所により真実味を出したかったのだろう。「おくりびと」よりも、こちらを選ぶべきだと思う。比ではない。(アンケートより)

Vol.122 「懺悔」
(テンギズ・アブラゼ)

2010/4/27
寓意に満ちた映像と、最后まで観る者をはぐらかす筋立てと、非常に印象深い作品でした。先日、あとに何も残らない「映画」(因みに邦画です。やつぱりというか。)を見てしまったものですから、尚更です。(アンケートより)

Vol.123 「しあわせのかおり」
(三原 光尋)

2010/5/25
空腹で来た人には目の毒です(笑)。あぁー、おいしそうやったー。最初の方、どこの言葉やろう・・・?と思いながら見ていました。金沢が舞台やったんですね。東京言葉とも関西弁とも違う。金沢が舞台で地元のイントネーションも出てくる映画はたぶん初めて見ました。映画の作りは正直、私の好みではないのですが(意外性のある、テンポの良い作品が好きなので)王さんと貴子、お互いが影響し合ってこれからも頑張って生きていこう、という希望がじんわり伝わってくる良い作品やと思います。(アンケートより)

Vol.124 「カティンの森」
(アンジェイ・ワイダ)

2010/6/29
何でもないようなこと、ひとつひとつに、当時のポーランドの事情、立場が透けて見えるというか、作った人の伝えたいこと、その伝え方のさりげなさ、辛抱づよさに胸がつまりました。ソ連が何のためにああいうことをしたのか・・・という事とは別に、なぜか人間というのはこういう生き物で、ポーランド、ソ連(あるいはドイツ)だけの話ではないことが強く感じられて、これまでに見たワイダ監督の作品の中で、最も生々しく、かつ最も冷静、辛抱強い映画のような気がしました。(アンケートより)

Vol.125 「フローズン・リバー」
(コートニー・ハント)

2010/7/28
時間があったので歩いたのが間違いでした。土砂降りになり、ズブぬれでおまけに遅刻。零下20゜C ということはありませんが、“Frozen River”の寒さを体感しながらの鑑賞でした。でも、「暖かい、いい映画」だったと思います。2人の母親のどちらにも共感するものがありました。上の息子にも、あの警官にも、あの終わり方にも、現実の寒さ、厳しさとは対照的な暖かさを感じたのだと思います。(アンケートより)



Vol.126 「ヴァイブレータ」
(廣木 隆一)

「クリーン」
(オリヴィエ・アサイヤス)


2010/8/19
寺島さんに魅かれて観に行きましたが、同じくらい大森さんもよくて嬉しい誤算。そんなことあるか!?と思う気持ちの隅に、共感できて泣いている私もいて、いろんなことを思い出した作品でした。観てよかった!!(アンケートより)

Vol.127 「冷たい雨に撃て、約束の銃弾を」
(ジョニー・トー)

2010/9/3
父親の復讐心が3人の男たちに伝わり、そのため組織から狙われながら、約束を果たした3人は男気がある心の優しい3人だと思って見ました。(アンケートより)

Vol.128 「孔雀」
(クー・チャンウェイ)

2010/10/21
ロバート・アルトマンの撮影監督を務めたこともあるリー・チャンウェイの第1回監督作品らしく、家族一人ひとりのエピソードを綴る視点は、アルトマンの影響か、従来の家族映画とは一線を画してシニカルで乾いている。最後に登場する、なかなか羽を広げない孔雀に助演動物賞をあげたいという声もあった。(主催者)

Vol.129 「めざめ」
(デルフィーヌ・グレーズ)

2010/11/17
何とも珍妙な作品だった。闘牛士の肝臓を一突きした牛が解体され、角やら骨やら目玉やらが色んな人のところへ渡る。その色んな人の人生の一コマが、間延びしたテンポで描かれる。当人たちにとってはアイデンティティに関わるような深刻な事柄が、とぼけた調子で描かれており、私には若干笑えた。『バベル』や一連のキェシロフスキ監督作品のように「みんな、どこかでつながっている」というようなことを描きたかったのかもしれない。(アンケートより)



Vol.130 「電信柱 エレミの恋」
(中田 秀人)

マリといた夏
(イ・ソンガン)

2010/12/16
「電信柱エレミの恋」、映画としては短いですが、心に染みます。“そんなバカな”と思われそうな設定やのに、ものすごく真面目に描かれていてよかったです。1960〜70年代の感じがよく出ていていいですねー。多くの人のイメージする60〜70年代はこんな感じなんやーと、自分のイメージとも合っていて懐かしい気持ちにもなりました。(アンケートより)

「マリといた夏」、風景や幻想的なシーンの絵がすごくキレイ。ちょっと、韓国版「もののけ姫」?と思いました。ソウルに行くことになっていたのはジュノの方やったんですね。(主人公の方だと、大分長いこと思っていました)

Vol.131 「アイガー北壁」
(フィリップ・シュテルツェル)

2011/1/26
はずした一つのザイル、助けようとした一つの命、悪天候とわかりながら登頂した2人、助けなければ登れたかもしれない。ザイルを抜かなければ簡単に帰れた。本当に何もかも運命の糸に操られてしまった。面白かったですというより、一つの教訓になりました。本当に素晴らしい映画でした。(アンケートより)

Vol.132 「ハロルドとモード 少年は虹を渡る」
(ハル・アシュビー)

2011/2/28
奇想天外で面白かった。高齢になっても、自分を自由にしておけばいつまでも若いときの表情でいられるというのが発見だった。(アンケートより)

なんだかよくわからない部分もあったけど、ハロルドがこれからしっかり生きていくことができると確信しました。モードに会ってみたい!!(アンケートより)

Vol.133 「トロッコ」
(川口 浩史)

2011/3/16
芥川龍之介の短編小説を基にした作品、ということで同じく芥川龍之介の小説を基にした「南京の基督」を見たことを思い出しました。台湾のお年寄りは日本語を話せる人が多い、日本人に友好的だということは、普段は観光に行くのに都合がいいことのように思っていますが、なぜ話せるのか、それれぞれの心中は、ということまでイメージする必要があると思います。今回チラシの1シーンはとても素敵ですね。緑の中のトロッコと2人の少年。これを見ているだけでも癒される気がします。(アンケートより)

Vol.134 「約束の葡萄畑」
(ニキ・カーロ)

2011/4/29
この作品からは、見ている間いろんなことを考えさせられました。登場人物、出来事を実際の周りの人や出来事に引き寄せてみたり。オーロラも伯爵も単なるヒールではなく、人間味のある人物として描かれていて好感持てました。ワインと同じで味わい深い作品ですよね。(アンケートより)

Vol.135 「シチリア!シチリア!」
(ジュゼッペ・トルナトーレ)

2011/5/26
とても個人的な映画を観ている気がしました。でもこれくらい「故郷」や「家族」との距離がきちんと定まっている人が描き出す風景を、美しい音楽と共に観ているのは、素直に心地良かったです。(アンケートより)

Vol.136 「人生万歳!」
(ウディ・アレン)

2011/6/28
主人公がウッディ・アレンに見えて困りました。(アンケートより)

主人公が理屈っぽくて、見ていて面白い人物ではないですね。ウッディ・アレン映画はこういう感じのが多いのでしょうか? 私はそんなに多く見たことないのですが。どんどん状況が変化していく映画の方がいいなあ。(アンケートより)

Vol.137 「アウェイ・フロム・ハー 君を想う」
(サラ・ポーリー)

2011/7/20
人は長年一緒に暮らしていても、それほど近い距離で相手を見てきたと思っていても、お互いのことを本当に知らないものなのだなあ・・・と思いながら観ていました。でも「老い」は有無を言わさず人を前に押し出す・・・とも。(アンケートより)

Vol.138 「テンペスト」
(ジュリー・テイモア)

2011/8/25
映像、音楽、衣装、どれもすばらしかったです。変わっているけどスゴイ映画。ヘレン ・ミレンもステキです。(アンケートより)

まとまった感じなし。何を云いたいのか。(アンケートより)

コスチューム映画が好きなので、衣装が良かった。映像が美しかった。(アンケートより)

Vol.139 「100歳の少年と12通の手紙」
(エリック=サマニュエル・シュミット)

2011/9/14
深刻なテーマなのに、重くならずコミカルな部分も沢山あり、とても深い作品でした。(アンケートより)

へたをすると安っぽい「お涙頂戴」になるところを、これはまさに“フランスのエスプリ”ですね。見事にまとめていました。「僕たちは皆、何か生きるよすがとなるような神話を必要としている」〈村上春樹〉(アンケートより)

Vol.140 「太陽の雫」
(イシュトヴァン・サボー)

2011/10/20
心にど〜んと重く残りました。帰ってからも頭からいろいろな場面が離れませんでした。ヨーロッパってすごい! ユダヤ人って悲しい。(アンケートより)

ユダヤ系の欧州での境遇、日本人には理解しにくい。この点が本作品を鑑賞する上で私には垣根となっている。壮大なドラマも、100年の物語をコンパクトにつめこみすぎた感があり、「薬草酒」のレシピの伝えるものの意味も最後にとってつけたようで・・・。ブダペストの美しい景観、コスチュームなど褒めるエッセンスは多々あるが、秀逸なキャストだけにやや惜しまれる。(アンケートより)

Vol.141 「誰がため」
(オーレ・クリスチャン・マセン)

2011/11/9
とかくレジスタンスの映画は、陰惨なものになりやすいのか。ナチス占領下では、武器などの物量的にも、人員的にも圧倒的な差があり、占領軍は訓練された兵士であるが、レジスタンスを行うのは一般市民である。また、いつ捕まって拷問にかけられるかわからないので、末端の者には組織の全容を知らされていない場合が多い。そうした中で、メンバーもおのずと疑心暗鬼にかられ、仲間割れや裏切りが生まれる。連合軍との関係など、背景の判りづらさがあったが、主人公二人の人物像に魅力があった。(主催者)

Vol.142 「127時間」
(ダニー・ボイル)

2011/12/21
開始早々からずっとドキドキしっぱなしでした。(実話だということも、大体の内容も目に入ってしまっていたのですが。)あの、じっとそばで見ていた男の子や、(おそらくは生まれて初めて?の)“ヘルプ・ミー”が胸に痛いです。(アンケートより)

Vol.143 「君を想って海をゆく」
(フィリップ・リオレ)

2012/1/20
主人公シモンがなぜ水泳の大会を欠場したのか、なぜ離婚に至ったのか、etcの事情を全く説明していないけれど、なんとなくワカルような気もして・・・。クルド人の男の子についても、助けになっているようないないような・・・何だかウロウロボヤボヤしているだけのような・・・そういうシモンに親近感を持って、ずっと観ていた感じです。(それにしても原題の“Welcome”が凄い。ドアマットほどの歓迎でさえないシステムと、そうせざるを得ないイギリスやフランスの事情・・・日本にいると実感しにくいテーマを考えさせてもらいました。)(アンケートより)

Vol.144 「素晴らしい一日」
(イ・ユンギ)

2012/2/24
地味だが、現在の国の事情の中にカメラを置き、人間同士の何気ない会話の中に真実というか、人間性を追及した佳作と思う。(アンケートより)

以前観た邦画の「転々」のラブ・ストーリー版を見ているような気がしました。女優さんが好きで楽しみにしていたんですが、今回も良かった〜。(地下鉄で泣き出す気持ち、よくわかります。)(アンケートより)

Vol.145 「家庭の庭」
(マイク・リー)

2012/3/16
信頼しあっている仲のいい夫婦トムとジェリーがいるから、メアリーの側のドラマが際だっている。メアリーが幸せになるためにはどうすればいいのか、答えの与えられないドラマではあるけれど、人間が遭遇するドラマは、その人の人間性に起因していることがよくわかる。俳優たちの演技のアンサンブルが、何と言っても素晴らしい。 (主催者)

Vol.146 「ラビット・ホール」
(ジョン・キャメロン・ミッチェル)

2012/4/20
タイトルの「ラビット・ホール」は、加害者の少年の描いた漫画のタイトルであり、不思議の国のアリスの落ちこむ異世界への入り口でもある。突然、息子を交通事故によって失った夫婦の心情は、まさに信じられない、信じたくない世界に落ちこんだ気分だったろう。夫婦の喪失と再生を繊細に描いて、説得力のある作品。(主催者)

Vol.147 「ペーパーバード 幸せは翼にのって」
(エミリオ・アラゴン)

2012/5/24
感動の涙は、世界の共通言語なんだなあ。中国や韓国の映画を見ると、アジアの人々のどちらかと言うと悲劇好きを感じてきたが、スペインの人も涙を流すのは嫌いではない。現実の辛さは、共感の涙で押し流すのが一番?(主催者)

Vol.148 「ウィンターズ・ボーン」
(デブラ・グラニック)

2012/6/28
こういう映画が出てくるから、インディペンデント系といってもあなどれない。お金をかけなくても、有名俳優が出なくても、優れた映画を作れることを証明してくれる。マイナーな作品にスポットをあて続けてくれているサンダンス映画祭に賛辞を送りたい。(主催者)

Vol.149 「人生に乾杯!」
(ガーボル・ロホニ)

2012/7/24
老夫婦のしたことは社会常識としては良くないことだけど、生きるために苦肉の策だったのでしょう。ひもじい子供が食物を盗んで食べるようなものだと思います。81才の夫に寄り添う70才の妻のしぐさに心打たれました。(アンケートより)

Vol.150 「天国の日々」
(テレンス・マリック)

2012/8/28
R・ギアが好きなので観に来ました。どうしてDAYS OF HEAVENなのかしら? あの黄金色のとてつもなく広い麦の畑が天国の希望の光なのかしら? どうしてR・ギアがずっと普通の青年の顔なのかしら?と思ってみていました。美しい畑、燃える畑、3人の顔、エンドの言葉が心に残ります。妹が幸せになってほしいと思いました。(アンケートより)

Vol.151 「ポエトリー アグネスの詩」
(イ・チャンドン)

2012/9/15
エンディングまで没頭して観ていました。この監督さんの作品の中で一番好きかもしれません。(66才のヒロインは、なんだか自分を見ているようで・・・困り?ました。)私は「詩」は「社交」とは対極にあるものだと思いますが、それも含めて詩というものについて考えさせられました。(アンケートより)

暗そうで気が進まないと思って見たのですが、予想を裏切って素晴らしい映画でした。淡々と、泣きわめいたり怒鳴ったりする場面などなく、ひきこまれました。時間が長いとは全く考えず、のめりこみました。俳優も皆すばらしい。(アンケートより)

Vol.152 「汽車はふたたび故郷へ」
(オタール・イオセリアーニ)

2012/10/30
物語の最後に登場する黒い人魚−あれは、何だったのか? 牧歌的で素朴と評されるイオセリアーニの作風とは裏腹に、亡命してパリで暮らす彼の、故郷グルジアに対する“喪失”や“断念”の表象ではなかったか?(主催者)

Vol.153 「ジェーン・エア」
(キャリー・ジョージ・フクナガ)

2012/11/30
※坂本千代神戸大学教授の講演付き
本では何回か読んでいましたが、映画は初めてでした。ローソクの使用や景観もイギリス的で、雰囲気がよく出ていると思いました。

原作と少し違っていたけれど、ジェーンの強さと純粋さを忠実に表現できていて良かったです。離れているふたりの魂が感応し合い、幻のロチェスターの声にジェーンが返事をする場面がもう少し強く表現されていたら、もっと胸をしめつけられたことでしょう。

Vol.154 「それでも、愛してる」
(ジョディ・フォスター)

2012/12/13
予想に反して、全くといっていいほど“コメディ”ではなく、後半はほとんどホラーに見えてきました。それも、荒唐無稽な設定?に見えるのに、とてもリアルな怖さというか・・・。「うつ」のオソロシサ(これはM・ギブソンの実体験も生きているのかな?)と、父親と息子という“親子関係”の難しさ、根の深さ・・・。でも、私にとってはとても面白い作品でした。

Vol.155 「オレンジと太陽」
(ジム・ローチ)

2013/1/17
・映画を通じて、人の悲しみや苦痛をこれほど感じられるものに、今まで出逢ったことがなかったので、とてもよい機会を頂きました。(アンケートより)

・冒頭から終始感じられる演出のデリケートさにも驚きました。久しぶりにスクリーンで映画をみたこともあるかもしれませんが、早々と2013年のベスト○○に入る作品をみてしまった気がします。“I'm nobody”という言葉が、本当に辛く感じました。(アンケートより)

Vol.156 「かぞくのくに」
(ヤン・ヨンヒ)

2013/2/21
・北朝鮮の国の有り方に改めて考えさせられます。今また核実験やミサイル等の問題があり、危惧される世情です。北の体制はやがて変革されると思いますが、批判すら出来ない中での国民の生活は大変です。(アンケートより)

・良いとか悪いとか言えない。何とも言えない恐ろしさ。たまらなさ。「映画」として観られなかった。(アンケートより)

Vol.157 「ソハの地下水道」
(アグニェシュカ・ホランド)

2013/3/15
・最初、暗いし人の見分けがつかないし、名前も顔も覚えられないしで、ちょっと困っていたのですが、見ているうちに「これは、占領・ホロコースト・地下の下水道を“体験”させる映画なんだ」という気がしてきました。今の時代になって、こういう題材を使ったものを日本人の私が見ていても、ソハが(その妻も)ごくごく普通の庶民なので、「こういう時代を一生懸命生きた、ひとりの人間」という普遍性を感じました。「イスラエルは6000人のポーランド人に感謝した」という最後の記述に、そんなにたくさん協力者がいたんだ・・・とも。様々な意味で「人間」を感じて、今の自分には良かったです。(アンケートより)

Vol.158 「ふがいない僕は空を見た」
(タナダユキ)

2013/4/25
種類は違うけれど、生きていると苦しいことが起こる。卓巳くんは歩き始めることができてよかった。福田くんは抱えている負が多すぎて大丈夫かしら・・・。卓巳くんのコピーをばらまいたことをどうやって心の中でクリアしていくんだろうか。自分の中の「負」についても考えさせられた。生まれたから、生きていくんですね。(アンケートより)

Vol.159 「愛する人」
(ロドリゴ・ガルシア)

2013/5/30
様々な女性の生き方が複合的に描かれる。ロドリゴ・ガルシア作品なので、単なるヒューマンドラマではなく、養子をもらうことに協力的だったはずの夫が心変わりしたり、養子を出すことに積極的だった母親が、子どもを生んだ途端に出せなくなったり、エリート弁護士のエリザベスが、隣人の幸福そうな夫を誘惑する魔性の部分も見せる。なかなか人間の心理は複雑で、一筋縄ではゆかない。(主催者)

Vol.160 「東ベルリンから来た女」
(クリスティアン・ペッツォルト)

2013/6/251
・淡々と(というか、素っ気なく)ヒロインの日常が描写されて、一体どうなるのかなあ・・・と思いながらずっとみていました。強い風と大きな十字架と、自転車に乗る(とても似合う)彼女の姿が印象的でした。ラストの彼女の顔・表情と対照的で、あのラストはとても良かった!(アンケートより)

・旧東独らしいテーマでした。「義務」があるという点は、まさしくです。当時、医者と言えば高地位にいて亡命もできる位置でした。問題点をはっきり明示しない、独らしい映画でした。(アンケートより)

Vol.161 「最終目的地」
(ジェームズ・アイヴォリー)

2013/7/26
・さまざまなことを想像させる映画で、面白かった!! 南米の富裕な外国人たちの周囲の風物、風景、音楽etcが心地良く、「抜け出せなくなる」感じがよくわかりました。俳優さんたちが実年齢よりずっと若い役柄だった気がしますが、物語の風合いにあっていて、違和感がなかったのにも感心しました。(アンケートより)

・アンソニー.ホプキンス・・・年齢を重ねるごとにすばらしい。内容も良かった。久しぶりに見た秀作だと思う。(アンケートより)

Vol.162 「もうひとりのシェイクスピア」
(ローランド・エメリッヒ)

2013/8/16
・エリザベスI世と貴族、シェイクスピア、庶民などの関係性、時代背景がとても丁寧に描かれていたと思います。(アンケートより)

・最初は人の顔や人間関係がなかなか頭に入らなくて、とにかく一生懸命観ていました。そのうち、これまで観たエリザベスIの映画やドラマが記憶に登ってきてくれて、少しずつ全体像がわかってきました。時代がしょっちゅう前後するなど、「親切じゃないな〜」と思いましたが、映画としては私はとても面白かった!あの、ムチモーマイ?なシェイクスピアもなんだかリアルで、エリザベスI世の老いた姿も名演だと思いました。(アンケートより)

Vol.163 「ハナ 奇跡の46日間」
(ムン・ヒョンソン)

2013/9/27
・感動をありがとう。やっぱり来て良かった。“ラリー”には力が入りました。南北統一の実現をぜひ、指導者達は真剣に考えてほしい。1993年来、再会を果たしていないというチームメンバーが、せめて電話で交流できればと、この悲しい現実が悔しい。映画の中で選手が、豊かでなくても祖国が良いと言った国を思う気持ちが心に残りました。(アンケートより)

・何より、“スポーツ”の良さ!を感じました。決勝戦会場のあの一体感は感動的です。女優さんたちが皆本気でトレーニングしたんだろうなあ・・・と感心しながら観ました。(アンケートより)

Vol.164 「愛について、ある土曜日の面会室」
(レア・フェネール)

2013/10/17
・言葉足らずというか説明不足?なのか、序盤は話のなりゆきを追うのにちょっと苦労してたのが、キャストがいいからでしょう、人物のひとりひとりがわかってくるにつれて、「人間って、どこでも変わらないなあ・・・」と思えてきて、どの人にも感情移入して観ることができました。(アンケートより)

・ひとつひとつの登場人物の人生が濃厚に迫ってくる感じで、すごく自分が幸せに感じた。(アンケートより)

Vol.165 「天使の分け前」
(ケン・ローチ)

2013/11/15
・ウイスキーを盗むところはドキドキしたけど、ラストはみんなハッピーでよかった。やっぱり映画はハッピーで終わるのがサイコー!!(アンケートより)

・ウイスキーが見せてくれそうな夢?みたいな、気持ちのいい映画でした。尋常な方法では今の暮らし方を変えられないのがはっきりわかる・・・そんな若い人のドンデン返し(笑)。“盗み”といえばそうだけど、まさに“天使の分け前”〜。登場する人たちひとりひとりが好きになれそう?な作品で、楽しかった!!(アンケートより)

Vol.166 「ハッシュパピー バスタブ島の少女」
(ベン・ザイトリン)

2013/12/10
・海にのまれてしまう故郷を思う島の人々、特に子どもたちの強い目に感動しました。(アンケートより)

・少し現実離れした所は多かったが、人の価値観は皆同じというわけではない!ということか?(アンケートより)

Vol.167 「みなさん、さようなら」
(中村 善洋)

2014/1/30
・エンタテイメント(フィクション)として、最後まで楽しんで観ました。(個人的に、主人公の悟くんや友だちのソノダ君のような人たちに囲まれて?この20年ほど暮らしてきているのですが、純粋にエンタメとして観られるようになったことに、歳月を感じたりしています。)色々見せ場を作ってありますが、全体として無理のないストーリーだとも。ただ、団地自体が今となると懐かしい風景でしたね・・・。(アンケートより)

Vol.168 「君と歩く世界」
(ジャック・オディアール)

2014/2/27
・少々荒くて、女性にはつらい内容でした。(アンケートより)

・シャチに両足を傷害されるとか、監視カメラとか、賭け拳闘とか・・・それぞれに一貫性がなく、ストーリーが奇抜すぎて感情移入しづらかった。(アンケートより)

Vol.169 「カンパニーメン」
(ジョン・ウェルズ)

2014/3/14
・アメリカのリストラ事情を描いているのですが、外国の映画を観ているという気がしませんでした。(「実業」が「虚業」にのっとられて、「人間」の値打ちがどんどん低く見積もられるようになっている今の現実は、どこの国でも共通のものなのだと。)群像劇はもともと好きですが、この作品のキャストも本当に良かった。(アンケートより)

・ひとりで子育てしながら失業して、子供に泣かれたことがあります。そのお陰で国家資格を取り、現在に至っているので、この作品の登場人物たちの焦燥感や不安は他人事ではない感覚を覚えながら見終わりました。(アンケートより)

Vol.170 「あの頃、君を追いかけた」
(ギデンズ・コー)

2014/4/24
・40年も以前の中に舞い戻ったというか、僅かばかりせつなさが残った。傷つけた人への思いもその時に戻り、何故か自分の哀れさを感じられた。(アンケートより)

Vol.171 「もうひとりの息子」
(ロレーヌ・レヴィ)

2014/5/29
・チラシでざっと眺めたとき、「この物語は一体どういう結末にするんだろう・・・」って本気で興味がわきました。これほど深刻な「とり違え」を、どうやって乗りこえるのか・・・。でも、実際に映画をみているうちに、作り手が描こうとしているものは、もう少し違ったことのような気がしてきました。「人は理念で動くわけではない」「事実というものの力は大きい」いろいろなことを考えましたが、あのラストにはやっぱり驚きました。先々、決してラクな道じゃあないと思うのですが、それでも確かにあれは自然な結末のような気もします。人間は本当にオロカな生きものだと私は思うことが多いのですが、それでも人間ってスゴイ!!と思いました。(アンケートより)

Vol.172 「25年目の弦楽四重奏」
(ヤーロン・ジルバーマン)

2014/6/25
・当ホールで観た中でベスト・オブ・ベスト。賞レースにからんでないのが全く不思議。脚本、演出、名優たちの演技を堪能しました。(アンケートより)

・音楽を扱った映画は、時によって退屈で嘘くさいものもありますが、今回のものは非常によくできていて面白かったし、最後に感動もしました。(アンケートより)

Vol.173 「いとしきエブリデイ」
(マイケル・ウィンターボトム)

2014/7/30
・美しい光の映像と、登場人物たちの優しいもの言いのおかげで、終始心地良く(退屈もせずに)観ていました。あのヒロインが、あまりにがまん強い、いいお母さんなのに驚きましたが、彼女の行動は(私も子どもが小さかった頃の自分を思い出して)無理もないと思うので。子どもにも母親にも優しくて、子育ての手間や経済事情を手助けしてくれる人なら、実はどんな人でも構わないと私自身が思っているからかもしれません。ラストの海辺では、男性が実の父親でも、そうでなくても別にかまわないような気がしました。(アンケートより)

Vol.174 「アルマジロ」
(ヤヌス・メッツ)

2014/8/23
・ドキュメンタリーということもあってか、今までに観た戦争映画と比べて、何というかからっとしてました。その争いの意味も、終わらせる方法も、誰も知らない。彼らに対して賞賛も批判もできない、そんな難しさ。最初は無邪気な素人でしかなかった彼らの顔が半年で兵士に変わること、そして皆が再び戦場へと戻っていくことに衝撃を受けました。彼らの戦争と、我々の願う平和が地続きであることを考えずにはいられない作品でした。(アンケートより)

Vol.175 「東京難民」
(佐々部 清)

2014/9/26
・明日は我身のような身につまされる思いがしました。今の日本は、ひとたび職を失うと住む所もなくなり、生活に窮するという格差社会。かつてだったら友達や周囲の人が手を差し伸べてくれたのに・・・。こんな社会でも、もがきながら生きていき、明日の社会に希望をみいだしていく主人公に、日本の未来を託したいと思います。(アンケートより)

・あたりまえの日常が、どんなに幸せなことか、改めて考えさせられました。(アンケートより)

Vol.176 「レイルウェイ 運命の旅路」
(ジョナサン・テプリツキー)

2014/10/24
・「赦し」とは、人にとって大きな生きるための課題だと思いますが、こんな話があったとは映画を見るまで知りませんでした。(アンケートより)

・日本軍の行った残虐行為を赦すまでに、どれだけ苦痛があったことか、私たちの想像をはるかに超えることだったと思う。(アンケートより)

・日本人として観ているとつらかったですが、目を閉ざしてはいけないと思いました。男性陣も良かったですが、やっぱりニコール・キッドマンには魅せられました。(アンケートより)

Vol.177 「この道は母へとつづく」
(アンドレイ・クラフチューク)

2014/11/27
・久しぶりのロシア映画で感動しました。私は50年前にエイゼンシュタインの「戦艦ポチョムキン」をその画面の切り取りかたに深く感銘いたしました。それ以来、深く印象に残った作品です。(この映画は)ラストシーン、日本なら母と会って涙の再会で終わりとなるところですが、母が登場する一歩手前で、少年の身繕いや表情だけで、その期待感を表したところが、この監督のすごさだと思いました。(アンケートより)

・半分以上汚れてしまった大人の世界なのに、子供の穢れのない瞳と、突破口が嬉しかったです。(アンケートより)

Vol.178 「ワン・デイ 23年のラブストーリー」
(ロネ・シェルフィグ)

2014/12/12
・ロンドンの通りの風景がとても美しかった。映画の音楽もとても良かった。男優さんがとてもステキだった。悲しい結末は見ていてもつらかった。感動する作品でした。(アンケートより)

・景色が素晴らしい。そして、メンド臭い二人だ。(アンケートより)

・一度大阪で観ていますが、今日又観て印象が変わりました。もう一度観られて、本当に良かったです。(アンケートより)

Vol.179 「海と大陸」
(エマヌエーレ・クリアレーゼ)

2015/1/18
・“観光”という光と影にある難民問題の根深さを考えさせられました。楽しさの影で悲しんでいる人がいるかもしれないということを心に留めておきたいです。法に裁かれることを恐れながらも、難民の家族をかくまった主人公らの家族の勇気は、凄いと思います。(アンケートより)

・グローバルな格差と貧困など 、今日的な人類の課題を真っ向から描いていて、素晴らしい。映画でした。(アンケートより)

Vol.180 「明りを灯す人」
(アクタン・アリム・クバト)

2015/2/28
※岡林立哉さんによる馬頭琴コンサート付き
・単体では上映会が成立しにくい作品だったので、高知在住の馬頭琴奏者、岡林立哉さんの演奏とのコラボレーション企画でした。また、180回の記念上映会でもありました。美術館ホールがトイレ改修のため使えないので、自由民権記念館に会場を移しての上映となりました。タイトルから、風力発電を扱った自然派志向の映画かと思っていましたが、エコの要素は薄く、朴吶な主人公が経済開発の波に呑みこまれる悲運の物語でした。(主催者)

Vol.181 「ブルーバレンタイン」
(デレク・シアンフランス)

2015/3/17
・“アメリカ映画”らしいのか・・・。“愛の終わりと誕生が重なりあうラスト”というのが悲痛だったからつらい。希望が欲しかった。(アンケートより)

・悲しい結末に悲しい気持ちになりました・・・。久しぶりにひとりで映画を観る時間ができて来ました。確かに、この結末は予測しませんでしたのでびっくりしました。こういうのもあるのですね。(アンケートより)

Vol.182 「悪童日記」
(ヤーノシュ・サース)

2015/4/24
・昔、原作を読んだ時、ア然とした記憶があり、映像化したらどうなるんだろうと思いましたが、映画はあの小説をそのまま伝えているのが感じられて、再度あの物語に出会うという体験をし、考えさせられました。(でも、あのおばあさんは小説よりも好きです。)(アンケートより)

・戦争の非情さがよく現れていたが、母親との別れ、父親との別れの心情が解らない。何であんな形になったのか理解できない。(アンケートより)

・悪童日記の小説を、昔3冊読みました。映画を観て思い出しました。ラストシーンが心に残ります。結婚をして初めての一人映画館でした。デビューして良かったです。名もない彼らを愛しく思います。(アンケートより)

・言葉を失う。生きぬくために、聖書に学んで行動した!というのか・・・。(アンケートより)

Vol.183 「おやすみなさいを言いたくて」
(エーリク・ポッペ)

2015/5/27
・プロローグとエピローグで描かれる、 テロに向かう女性たちの儀式、体に巻かれる爆弾の恐ろしさに圧倒される。特に、最後の女の子は主人公の娘と同い年ぐらいのいたいけない少女。その悲劇を前にして、主人公はカメラを向けることができない。大義の名のもと、信仰を利用して、弱者を喰いものにする世界(大人)の残酷さが鮮烈だった。(主催者より)

Vol.184 「ある過去の行方」
(アスガー・ファルハディ)

2015/6/23
・もつれまくった糸をほどいていくような映画だった。ラストは少し予想外。幸せなのか、子供たちは幸せに育つのか・・・でも、魂の救済の映画なのかも。(アンケートより)

・愛の深さについて考えさせられました。その後について、心の整理はこれからの課題です。香水の香りがしました。(アンケートより)                       

Vol.185 「世界の果ての通学路」
(パスカル・プリッソン)

2015/7/24
・学校への通学と言うと、いたって日常的なはずだが、猛獣のいる草原を横断するとか、山岳地帯を越えて行くとか、馬で通うとなれば非日常の冒険的出来事となる。それでも学ぶことを放棄せず、“遠路はるばる”を日常化してしまう子供たちの健気さ、たくましさが素晴らしい。(主催者より)

Vol.186 「唐山大地震」
(フォン・シャオガン)

2015/8/27
・スピルバーグも絶賛したそうですが、素晴らしい画面の連続で感銘しました。何より、地震で引き裂かれた母と子供二人の32年とその人生のドラマ性が本物です。この年で、正直何度も泣かされました。(アンケートより)

・人間の力ではどうにもできない天災の悲惨と、その後も続いていく人生をどうやって街も暮らしも心も再生していくのか・・・阪神淡路地震を体験した日が思い出された。(アンケートより)

・映画をみてこんなに泣いたのは初めてです。2011東北と重なるのは今もつらいが、ヒロシマ・ナガサキとも重なり、最後の碑はオキナワのそれと重なり・・・。(アンケートより)

Vol.187 「私の少女」
(イ・チャンドン)

2015/9/11
・う〜ん、「私の男」を思い出しました。同胞というか、孤独な魂が引かれあうというか・・・。風景が高知っぽかった。土佐清水みたいな景色が多かったです。(アンケートより)

・何か色々なこと(搾取、寒村での有力者、子供の遺棄、児童虐待、同性愛者への偏見等)を詰め込みすぎ。(アンケートより)

・少女は悪知恵を使いセルフヘルプし、所長も(怪物)を放置できなかったけれど、バキム不法労働者は顔が腫れあがるほどの暴力を受けた上、留置所につながれて、いったいどうなるの?(アンケートより)

Vol.188 「パプーシャの黒い瞳」
(ヨアンナ・コス=クラウゼ/クシシュトフ・クラウゼ)

2015/10/21
・知らなかったポーランドのジプシーの人々。その中での言葉。時代が何度も前後するのはわかりにくかったけど、後半はスムーズに入ってきたのはなぜだろう。悲しい終わりかただったが“現実”・・・。(アンケートより)

・とても素晴らしい映画でした。1シーン1シーンすべて絵画のようでした。音楽も、映像も、もちろんストーリーも全てに感銘を受けました。この上映会がなければ、知ることのない作品だったと思います。(アンケートより)

・伝統の大切さと残酷さ。何と言っていいのか? 考えさせられる映画でした。確かにパプーシャは一度も詩を書いていない。(アンケートより)

Vol.189 「ウェイバック -脱出6500km-」
(ピーター・ウィアー)

2015/11/27
・シベリアやモンゴルを旅行した身では、この旅が映像以上にいかに過酷であったか想像できる。人間の意志の強さ、協調性の大切さなど、よく描かれていたと思う。(アンケートより)

・見ていて大変な状況で疲れました。よくまあ4人も生きて逃れたものだと、感動しました。俳優さんで知っているのはコリン・ファレル(「アレクサンダー」「トータルリコール」)だけでしたが、今回の映画はキャラが立っててなかなか良かったと思います。(アンケートより)

・思ったよりも見応えがありました。体力の低下から旅を諦めたスミスが、ヤヌシュの言葉により再び歩き出し、2人が肩を並べて歩く姿に“巡礼”という言葉が思い浮かびました。(アンケートより)

Vol.190 「ひつじのショーン バック・トゥ・ザ・ホーム」
(マーク・バートン/リチャード・スターザック)

2015/12/17
・ひつじのショーンを好きで、いつもテレビで見ています。映画の内容も良かったです。楽しい時間でした。(アンケートより)

・上質のアニメだねー。英国はきっちりまじめにふざけるという感じで、気持ちいいあと味です。(アンケートより)

・小学2年男子の孫に見せたかった(きっとよろこぶ)けれど、この日では来られませんでした。長く、ちょっと疲れました。大人向きではない?(アンケートより)

Vol.191 「ターナー、光に愛を求めて」
(マイク・リー)

2016/1/27
・ターナーの絵と、彼の人生のあまりにも違うイメージに驚きました。奴隷船のことがそんな最近まであったことも知らなかったし、ターナーがそれを絵に描いていたことも知らなかった。女王のひとことで評価が180度転換する、これにもびっくり。ターナーはあまりにも早く生まれた天才だったのだと知りました。(アンケートより)

・ターナーと彼を見守り続けた2人の女性が素晴らしかったが、大芸術家とはああも我ままなものかとオドロイた。(アンケートより)

Vol.192 「サイの季節」
(バフマン・ゴバディ)

2016/2/26
・予備知識がないと難しい映画で、人物の設定も混乱し、時系列に戸惑いました。作品の真価が、深く理解できませんでした。(アンケートより)

・かなり重たい内容でした。愛することは何なのか考えさせられる内容でした。また、難解なところが所々あり、1回の鑑賞では理解できませんでした。(アンケートより)

・何かすごい映画。実話だなんてひどすぎる。映像がすてき。水のシーンが好き。カメ、馬、サイ、鳥、犬、ネコ、いろいろ出てきたけど、何でかわからない。あと1回か2回はみないとわからない。でもすごい。(アンケートより)

Vol.193 「エール!」
(エリック・ラルティゴ)

2016/3/29
・3か月くらいのストレス、抜けました。ステキ〜。Mamaいいですね。仏の高畑淳子?? 久しぶりに笑ってさわやか、すっきり感動した映画でした。(アンケートより)

・感動しました。フランス映画ならではのおかしさと、家族愛とそのわずらわしさと、いろいろ入り交じってよかったです。(アンケートより)

・わたしは、映画の初めの方の、お父さんが村長選に立候補するとき、耳が聴こえなくて何が悪い、オバマのハダの黒いのは大統領になるのには関係ない、耳の聴こえないのもそれと同じ、「障害」は個性、ということばに心ひかれます。そのとおりなのです。(アンケートより)

Vol.194 「MUD」
(ジェフ・ニコルズ)

2016/4/28
・それぞれのストーリーを細かくひろってて、最後まで先の読めないストーリーで、大変面白かった。(アンケートより)

・一途な愛を信じていた少年が、裏切られるも、離れていてもそこには愛があるという新たな価値観を見つけ成長する過程がていねいに描かれていて素晴らしかった。(アンケートより)

・悪者になっている裏に真実の愛が隠されている。無償の愛というものを見られて、感動とともに考えさせられました。(アンケートより)

Vol.195 「独裁者と小さな孫」
(モフセン・マフマルバフ)

2016/5/20
・これほど情のある映画と思わなかった。憎む事が分からない国に生まれたので、本当の意味の理解は難しいと思うが、負の連鎖は止めてもらいたい。(アンケートより)

・どうしたら負の連鎖を止められるか…亡命している身で、それでもこういう理想? 希望! 夢??を描いていることに感動しました。映画自体は、そのユーモアや「大統領」の“いいおじいちゃん”ぶりのためか、“圧政をしいた冷酷な独裁者”に見えないせいで、ちょっと困惑させられた自分です。それがこの映画の良さだとも思うのですが。(アンケートより)

・「復讐の連鎖では何も解決しない」と言った彼のような人はどれだけいるのだろうか? ラストの孫が踊るシーンは印象的でした。(アンケートより)

Vol.196 「サンドラの週末」
(ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ)

2016/6/29
・最初(前半)はサンドラの腰がすわらなくてイライラしましたけれど、最後はトテモ良かった。反対した人もそれぞれ事情があるので、責められません。身につまされる思いでした。復職はできなかったが、半数の人が支持してくれたことは彼女の今後の生きる支えとなることでしょう。

・監督とM・コティヤール主演なので、期待して観にきました。コティヤールはうまいなあ。休職前の人柄が、同僚の態度に出たのでしょうね。主任の「誰が言った?」の言葉が気になるところ。色々あるけど、前向きにがんばらなくちゃと思えました。(共にアンケートより)

Vol.197 「ベル&セバスチャン」
(ニコラ・ヴァニエ)

2016/7/28
・国境の風景が、私には想像もつかない程美しかった。また、人間と犬の情愛がひしひしと伝わって、観た後が清々しかったです。

・前にレンタルDVDで見てたのですが、その時も内容・音楽がすばらしく3回見ました。でも、スクリーンで見たくて来ましたが、やっぱり美しくて雄大な自然の美しさはすごく良かったし、何回見ても心があたたかく、気持ちが優しくなる映画です。多くの人に見てほしいです。(共にアンケートより)

Vol.198 「無伴奏」
(矢崎 仁司)

2016/8/23
・同時代を生きた若者がどう描かれるのか、とても興味がありました。生きる重たさをかかえ、乗り越え、今どんなミドルエイジを生きるのかを問われている私たちです。同時代感がすごくリアルでした。

・少女の複雑な内面と若さゆえの暴走、そして成長。18才の女の子にはヘビーすぎる状況の変化。音楽でなく、プロット自体に伴奏ありすぎと思いました。長いので疲れましたが、良かったです。

・素晴らしい! 見事な時代風景描写、聴き慣れた名曲の数々と共に稀有で卓越したストーリーにぐいぐい引き込まれました。体当たりの演技陣もすごいですね。(共にアンケートより)

Vol.199 「アクトレス」
(オリヴィエ・アサイヤス)

2016/9/27
・邦画・・日本の女優たちの演技の物語でも、世代の移り変わりのドラマチックで美しい物語はいくつかありましたね。今回の物語は、今40年の仕事を退職し、少しストレスレスな生活をしている私には遠くも感じられましたが、人生を考える時、ジュリエット(マリア)の思いがとても身近に感じられました。心理と外の世界の悠大な描写の対照がすばらしく、「ヘビ」の表現のあの光景、大きな自然の流れはとても感動的でした。「舞台」を映画として見せる終章の表現もすてきです。

・女優さんたちが皆良かった!!(特にクリスティン・スチュワートは、この人の本領発揮という感じ。)こういうヒリヒリした感触をなんと言ったらいいのかわからないけれど、「雲の蛇」の美しさも含めて、しばらくは忘れられない映画になりそうです。(共にアンケートより)

Vol.200 「ヒマラヤ杉に降る雪」
(スコット・ヒックス)

2016/10/23
・大変良い映画でした。会話、情景描写の抑えた表現、ハツエを演じる工藤夕貴の瞳の美しさは、彼女の日本人としてハリウッド女優を生きる決意や意識の深さ、演じることへの愛を感じます。法廷シーンのどんでん返しも、深い感動がありました。ハツエが夫の見ているそばでイシュマエルをハグする場も、とても深いものを感じました。

・老化のせいか、初めはストーリーの全体像がわかりにくくて困ったけれど、ようやく内容に入ることが出来てからは感慨が深まりました。ラストシーンの、雪の中をひとり歩いて去るイシュマエルの背中が胸に迫り、心情が切なくて記憶に残るものとなりました。(共にアンケートより)

Vol.201 「シャトーブリアンからの手紙」
(フォルカー・シュレンドルフ)

2016/11/16
・戦争の無慈悲を思う。それぞれ懸命に生き、愛する人達を無差別に死に追いやる残酷さ。歴史上、多くの中で行われた。こんなことはもういい加減にやめることだ。死を前にあんなに覚悟ができるとは・・・。

・多分、史実であろう。あってはならない、人間の悪の歴史である。静かに淡々と描かれていたが、心をゆさぶる大きな感動はなかった。とは言え、人類の恥部を真摯に取り上げた秀作であるとは思われる。(共にアンケートより)

Vol.202 「すれ違いのダイアリーズ」
(ニティワット・タラトーン)

2016/12/16
・観た後のさわやかさ!! 教えることが未熟なソーンと生きることが不器用なエーン。2人とも懸命にひたむきに子どもに向かう姿が清々しい!! 東南アジアの映画を初めて観ました。

・ソーン先生、ちょっとイタいけどザ・ピュアで、アジアにもステキな映画があるのでもっと知りたい。夜の映像も美しかった。これぞハート・ウォーミングです。

・タイでこの映画を観たことがあったので、また観られて嬉しかったです。私はこの映画のモデルとなった水上学校に行ったことがあるので、とても懐かしかったです。(共にアンケートより)

Vol.203 「イングリッド・バーグマン -愛に生きた女優-」
(スティーグ・ビョークマン)

2017/1/20
・I・バーグマンはレジェンドです。父が大ファンで、バーグマンの新作が上映されると仕事の友人と一緒に見に行ってたそうで、いつも立見の超満員だったそうです。私は「ジャンヌ・ダルク」(テレビ)を見ました。スーパースターの上を行く、まさにレジェンドですね。

・イングリッドの人格も含めて、人間としての魅力が伝わった。
・なんて豊かで美しく、華やかな人生!(共にアンケートより)

Vol.204 「好きにならずにいられない」
(ダーグル・カウリ)

2017/2/21
・ハッピーエンドかと思って見ていたので切ないラストに哀しくなったが、エジプト旅行に出たフーシはこれから少しずつ変わってゆくのだろう、とも思えたので良かった。

・オタクの気持ち悪さ(一般的に)より、心優しく一番人の痛みを理解できるフーシに慈悲の心を感じました。容赦ない大人の子供じみたいじめの中で耐えるフーシ。躁鬱な(?)な彼女とのこれからを曖昧にした終わり方がステキでした。余韻が残りました。(共にアンケートより)

Vol.205 「ニュースの真相」
(ジェームズ・ワンダービルト)

2017/3/17
・結局、あれは真実だったのか、ガセだったのか? 真実だったから潰されたんですよね。

・時の権力におもねるメディアは自己崩壊する。最後まで斗うものは美しく、時がその真実の姿を語る。日本でも沖縄返還の密約報道の記者の件、松本サリン、そして今も起きているかもしれない。(共にアンケートより)

Vol.206 「リリーのすべて」
(トム・フーパー)

2017/4/28
・愛する人が変わっていく時、自分はどうすればよいのか考える良い機会になりました。友人にも良い映画だと伝えています。

・女性になりたいという願望がありながら、妻への想いからかもう一度男に戻ろうとする所に心が痛んだが、そこに感動した。

・リリーがとても愛しく、この日の夜は寝ても覚めてもリリーのことが頭から離れませんでした。久しぶりにのめりこむ映画でした。(共にアンケートより)

Vol.207 「こころに剣士を」
(クラウス・ハロ)

2017/5/12
・子ども達が健気で愛らしくて良かった。また、音楽がとても良かった。

・期待どおり、深刻さも重過ぎず、こんな映画が観たかった、という感想です。「ヒマラヤ杉−」後入会し、これで探さなくても良い映画がみられると思いましたが、水上学校、バーグマン、フーシ、ニュースキャスターと“普通”、ついにリリーは拒否反応があって来場出来ず、という状況のとき、やっと出会えました。(共にアンケートより)

Vol.208 「アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場」
(ギャヴィン・フッド)

2017/6/27
・映画の時間が短く感じられました(ハラハラで)

・世界一安全な場所で、葛藤を抱え「正義」のためになされる作戦。映画の手法・表現は優れていると思う。提起されることは大きい。しかし、ITの時代に、その「安全」の側で、その実態を安寧として見ている自分をどうとらえるか、考えてしまう。そして、こちら側の安全も、今や、戦争する側にされる危険の直前でもある。それをどう食い止めるか。「正義」の戦争はないと思う。(共にアンケートより)

Vol.209 「未来を花束にして」
(サラ・ガヴロン)

2017/7/21

・映画を観た後、しばし唖然。男性支配の社会に抗するため、サフラジェットの女性たちが取った行為は、現代の感覚で言えばテロと呼ぶしかない。しかし、映画で示される男女の労働条件の格差や親権の不当さ、幼い頃から過酷な労働に耐えてきながら、わが子さえ奪われてしまうモードの悲しみを思うと、当時としては、ひとつの必然だったのではないかとも感じられる。人々の心を打ったのは、テロ行為ではなく、エミリーの殉死の方だったかもしれないが・・。(主催者)


Vol.210 「父を探して」
(アレ・アヴレウ)

2017/8/29
・セリフ無く、パンフレットの簡単な説明だけで観始めたのですが、さらりと描いた絵と色彩の美しさに魅せられ、観終わってからはストーリーの奥深さが感じられ、ストーリーを理解した上でもう一度観たいと思いました。少年も工場で働く青年も農場で働くおじいさんも、すべて彼なのだと気付くのに少々時間が掛かりましたが、彼は笑顔の両親に囲まれて粗末な食事を分け合っていた頃の、この上なく幸せな少年の自分とともに人生を旅してきたのでしょうか。(アンケートより)

Vol.211 「雨の日は会えない、晴れた日は君を想う」
(ジャン=マルク・ヴァレ)

2017/9/22
・1回観ただけではわかりにくかった。チラシの内容とストーリー展開が少し違うような・・・。最後は主人公が笑顔のシーンで終わったので、ほっとした。良い映画だと思う(けど、途中やや不適切と思えるシーンがあったので気になった・・・)

・上手く表現できませんが、胸にささる映画です。(共にアンケートより)

Vol.212 「ミツバチのささやき」
(ビクトル・エリセ)

2017/10/26
観終わった直後は、わからないところも多く、不思議な映画・・・という印象でしたが、後でいろいろ考える材料をくれた、観終わった後の時間を楽しくさせる映画でした。特に母親の謎めいた雰囲気が興味をひきました。お城のような家、夫のミツバチ研究者(?)らしい職業も不明ですが、本の上に涎をくって眠っている夫に触れる妻の美しい手の動きには、夫がまるで知らない妻の欲求不満(あるいは現実に飽き飽きしている)が表現されているように思いました。姉妹の姉は現実主義者ですが、妹は夢想家で、自分の世界に浸っている様子がよく表現されていて、電気のない世界のうす暗さが妖しい世界をつくりだす様子がよく描かれていると思いました。毒キノコとフランケンシュタインを同じ精霊の仲間のように感じているらしい妹が、大人の知らないところで自分の世界に浸りきっている様子が、したたかな姉の行動によって呼び起こされる怪奇性と相まって、美しい映像となって現れていると思いました。(アンケートより)

Vol.213 「セールスマン」
(アスガー・ファルハディ)

2017/11/17
・お芝居と現実が交錯する中で、とてもいい心理サスペンスだと思いました。ラナは乱暴された男をどうしてあんなにやさしく許せたのだろうか。警察には行きたくない。暴力を受けた女性は誰もが思うだろう。それにしても、人はそんなにやさしくなれるのでしょうか。映画とは言え、自分に置き換えて考えさせられる名品でした。
・これを機会に、いつもの夫と妻に戻れるのか。深い深い心の傷はどうなるでしょうか。苦しい苦しい生活が続くことでしょう。(共にアンケートより)

Vol.214 「わすれな草」
(ダーヴィット・ジーヴェキング)

2017/12/19
・95才の姑を、義兄が在宅介護中。家も近く、私一家もいろいろと面倒をみているが、その姑も重なって胸が詰まった。最後は結局家族の“愛”なのか・・・深いです。
・誰の身にもおこり得る認知症。明日は我が身だと。家族に静かに見守られながら生きられればそれが一番。年とってくると、介護する側の負担が大変になる。
・自分の人生って、結局は自分で最后まで選びとっているのかも、そう感じる映画でした。(共にアンケートより)

Vol.215 「ターシャ・テューダー」
(松谷 光絵)

2018/1/23
・これまでのNHKドキュメンタリーの総集編的な作品とは言え、地方でも当然観られるべき作品ということで、シネマ四国さんと共催。これからの生き方を考える中高年の皆さんを中心に、800人以上の方にご覧いただくことが出来た。ターシャの生き方は誰もが真似できるものではないだろうが、自分がどうあるべきか、どうしたいのかを常に自分の内面に問いかけながら生きてきたターシャの姿勢を見習いたい。(主催者)

Vol.216 「幼な子 われらに生まれ」
(三島 有紀子)

2018/2/23
・家族、特に親子関係を描いて是枝裕和監督の「歩いても歩いても」「そして、父になる」などと肩を並べる作品。チラシにもあしらわれている長い駅の階段や、ゆるゆると滑ってくるモノレールの扱いなどが秀逸。説明的な展開やセリフによってではなく、ドキュメンタルな映像そのものに語らせることが出来るところに、三島有紀子監督の力量を感じる。(主催者)

Vol.217 「女神の見えざる手」
(ジョン マッデン)

2018/3/23
・CGに頼らなくても、沸点のある人間ドラマは十分スペクタクルになり得ることを証明した作品。高慢で独善的とも見えたスローンが、手段を選ばない方法とは言え、自分の信念を貫き通す姿にはカタルシスさえ感じた。主演のジェシカ・チャステインは自分の製作会社を立ち上げ、カンヌ映画祭の審査員も務めているなかなかの才媛。今後の彼女の出演作も楽しみだ。(主催者)

Vol.218 「怪物はささやく」
(J.A.バヨナ)

2018/4/24
・冒頭からビジュアルが素晴らしかった。圧倒的で美しさもある。特撮ファンとしては、すべてがCGというわけではないのが嬉しかった。怪物が少年に語る理不尽で残酷な物語の数々。その陰に、現実の理不尽さ・困難さを乗り越えてほしいという重病の母親の切なる願いがあったわけだが、そのあたりの伏線がもう少しあった方が理解しやすかったのではないだろうか。(主催者)

Vol.219 「50年後のボクたちは」
(ファティ・アキン)

2018/5/25
・ファティ・アキン監督だから、結構ムチャクチャで不道徳なところもあるのではないかと思っていたが、気持ちのいい青春映画だった。中学生のやってみたいことを集めたファンタジー映画と言ってもいい。ハリウッド映画ではないから、今どきの中学生が地球の滅亡に立ち向かったりするわけではないが、車を盗んで旅に出たり、車で畑を踏みたくったり、大事故を起こしたりしても、彼らの行動にちゃんと中学生の生活感があるところがいい。
・ひと夏の冒険を経て、少年は少し大人になった。かつて憧れていたクラスメート・タチアナからの手紙に振り回されなくなったマイクは、男の子としてなかなかカッコいい。
(主催者)

Vol.220 「夜明けの祈り」
(アンヌ・フォンテーヌ)

2018/6/27
・新緑の緑の季節5月にポーランドに行ってきました。ワルシャワやグダニスク等昔のままの街に復元され、一見平和そのものに見えましたが、ナチスドイツやその後占領されたロシアに痛めつけられた歴史を知った為、この映画は観てみたいと思いました。アウシュヴィッツにしろ、この映画に描かれた事実を知ることは大切だと思います。
・プロテスタントの人間に修道女の世界がどこまで理解できているかわかりませんが、よく描けている物語だと思いました。信仰の恐ろしさと素晴らしさを教えられました。(共にアンケートより)

Vol.221 「動くな、死ね、甦れ!」
(ヴィターリー・カネフスキー)

2018/7/28
・監督は、スターリン時代を長く獄中で過ごした人だったから、映画の中にも自らの生い立ちや社会環境に対する呪詛のようなものが垂れこめている。外の世界を描きながら、まるで収容所か精神病院の中にいるような閉塞感で、カネフスキーの精神世界をのぞきこむかのようだ。作劇や撮影に、稚拙だったりバランスの悪い所も見受けられるが、子供の頃ストリート・チルドレンだったというカネフスキーの特異な体験に根差した、唯一無二の世界観が圧倒的。ワレルカとガリーヤ、疾走する二人をとらえたシーンの清冽な叙情性に心打たれる。(主催者)

Vol.222 「灼熱」
(ダリボル・マタニッチ)

2018/8/18
・クロアチア紛争を巡る3話のオムニバス映画。第2話、第3話については冗長なところもあるが、第1話は、民族の異なる恋人同士が引き裂かれる話で、ディティールも効いていて秀逸だった。
クロアチア映画の水準はそれほど高くないかもしれない。屋内のシーンでは、人物の表情をとらえたいはずなのに、画面が暗くつぶれていたりする。逆にその未熟なところが新鮮でもあった。海面・海中のシーンは美しく、海(アドレア海)への愛着が感じられた。海は、激情的な国民性に理性の覚醒と癒しをもたらす存在なのかもしれない。(主催者)

Vol.223 「ローズの秘密の頁」
(ジム・シェリダン)

2018/9/26
・戦争、時代背景などに翻弄された女性の信じた人生が報われて、大変感動しました。女優さんの目が素敵でした。

・ヴァネッサ・レッドグレーブが出ているだけで観る価値があると思って・・・さすがの演技で満足。

・今回の上映会はアイルランドが舞台?ということだけ頭に入れて、見に来ました。宗教が絡む人の感情は、国民の大多数が何らかの宗教(信仰)を持っている、という国ではない者からすると、分からないこともありますね。戦争、嫉妬、悪意、信仰などが絡んだヒドい事件だと思います。一度、こういう精神病院に入れられてしまうと、中の人はその対象者を異常者として見るから、ローズの言い分をまともに聞いてくれる人がいなかったのでしょう。40年以上も無実の罪で投獄されていたのと同じ。再評価を任された医師がローズの息子で、最後に救われて良かったですが、現実には本当にこういう状態で長いこと病院に入れられている人もいるかもしれませんね。(共にアンケートより)

Vol.224 「いのち・ぼうにふろう」
(小林 正樹)

2018/10/17
・高校の時見そこなったので45年ぶり(?)に見られて良かったです。十河進さんのお話にありました黒沢監督の「どですかでん」の翌年だったと思います。

・山本周五郎の小説をベースに、ギリシア悲劇やシェークスピア劇のようにドラマティックに描いていて迫力があった。時代性もあり、やや冗長。

・社会の底辺で生きる人達の人情を思う。金や利権で動く役人や商人への反抗、若者達を必死で応援する姿が何とも言えない。(共にアンケートより)

Vol.225 「長江 愛の詩」
(ヤン・チャオ)

2018/11/21
・長江沿岸の風景や船、三峡ダムなど映像は超一級で素晴らしかったが、セリフやエピソードが難解で、しばしば首をひねった。(途中、意味がわからないと4人ほどのお客さんが帰られたのは、申し訳ありませんでした。)一番分かりにくかったのはアン・ルーという女性の存在だったのではないでしょうか。長江の表象とも、川の魚の化身とも思える存在でした。個人的には、アン・ルーは三峡ダムが出来て変貌後の長江の象徴ではないかと考えています。変貌前の長江は、その源流において碑が残され、アン・ルーによって祭られていました。三峡ダムができることで、長江は一度死んでいると作者は言いたかったのではないでしょうか。 (主催者)

Vol.226 「クボ 二本の弦の秘密」
(トラヴィス・ナイト)

2018/12/19
・ものすごく楽しみにしていたので、見れてよかったー。なんでたった一日なのー? 世界観感じれたしー。日本の良さも伝わってよかったー。

・ずっと見たかった映画なので、大画面で見れてとてもありがたかったです。内容もすばらしく、最後にはうるっときました。ストップモーションで作られているとは信じられないくらい、キャラクターが生き生きしていました。もう一度見たいくらいです。

・まだ胸がザワザワしている。感動でふるえています。平成最後の12月にこんな作品が観られて最高でした。(共にアンケートより)

Vol.227 「追想」
(ドミニク・クック)

2019/1/16
・フローレンスの性に対する恐怖感が、生育歴の何から来てるのかわかりにくく、個人的にはもやもや感が残った。各々がやや円満とは言い難い家庭で育っているので、不幸な組み合わせだったかも?

・美しい映像と音楽で、若い二人の楽しい時期や傷つけ合う時期、それぞれの部分部分は楽しめたが、ストーリーが好みではなかった。でも自分では積極的に見ようとしない作品だったので、勉強になった。

・シアーシャ・ローナンはいいですね。2人のその後の人生を思うと泣いてしまいました。ラストが美しかった。貝がらのビーチが心に残りました。(共にアンケートより)

Vol.228 「モリのいる場所」
(沖田 修一)

2019/2/20
・熊谷守一の絵に最初に出会った時、子供の心を持った人なのだと思った。が、この映画を観た時、年老いてシンプルな画風になったのは、守一自身の世間とのかかわり方にも関係があるのだと思った。彼にとってはドリフターズもお笑いも必要なものではなく、うどんでさえもシンプルに。空や虫や草花、自然こそがいらないものを削ぎ落としたシンプルな生き方で、彼の安らぎであったのだろうと思う。

・楽しみにしていました映画、見ることが出来て良かったです。想像していた内容と違い、生き方の奥深さを感じました。映像が鮮明できれいでした。(共にアンケートより)

Vol.229 「われらが背きし者」
(スザンナ・ホワイト)

2019/3/20
・登場人物が多く、相関関係をつかむのに時間を要した。(後半は集中できたが・・・)個人的にはダミアン・ルイスの演技が良いと思う。

・もうハラハラドキドキで最後まで。一瞬たりとも気が抜けなかった、です。面白かった。

・教授の生き様、そして何よりあの美しい景色は救いになりました。(共にアンケートより)

Vol.230 「花咲くころ」
(ナナ・エクフティミシュヴィリ、ジモン・クロス)

2019/4/17
・昔のグルジアですね。フィギュアスケートのクリララシビリ?さんの国。ヒロインも似ていましたね。女の子たちの生きづらさは戦下も今も一緒か?? 1922年って、つい最近の感じですがつらいですね。

・さっぱりわからなかった。

・主演俳優の面々が魅力的で、画面から目を離せず。ナティアの結婚式で踊るシーンは絶品。終わり方が唐突のように思えたが、あれはあれでよかったのかも。

・大相撲が好きで、栃ノ心の出身地が舞台の映画ということで、興味を持って来ました。ソ連は国土が広くて、極東の方にはモンゴル系の人が住んでいるし、今のジョージアは中東系の顔立ちの人が多いんですね。結婚式のシーンで弾いていた音楽も中東っぽかった。最後に、ラドの復讐でナティアがコテを撃つのか?と思っていましたが、川に投げ捨てましたね。武器を持っても身を守ることにはならないと思います。今の国としての日本にも言えること。女の子2人が演技未経験とは思えない堂々とした演技してましたね。(共にアンケートより)

Vol.231 「バッド・ジーニアス」
(ナタウット・プーンピリヤ)

2019/5/29
・上映開始より目の離せない展開(実際はそうでもないのに、奇妙な緊迫感あり)〜ラストの思いがけないバンクの考え方。早退して逃げるリンを追う審査官のシーンは、大昔のTV、D・ジャンセン主演の「逃亡者」を追う鬼刑事を思い出させた。

・後半どうなるか、ハラハラ手に汗にぎった。面白かった。

・タイの映画を初めて見ました。若者の生態は万国共通でもあり、「社会」も共通であり・・・興味深かったです。(共にアンケートより)

Vol.232 「チューリップ・フィーバー 肖像画に秘めた愛」
(ジャスティン・チャドウィック)

2019/6/26
・サスペンスとしてとても面白かったです。こういう場合に出て来る年寄りのお金持ちの夫は、たいてい人間的に興味惹かれないただのシジイであることが多いですが、この話のソフィアの夫は騙されて気の毒なぐらい、善良な人でしたね。真実を知って、マリアとウィレムに全財産と家を譲って、自分は身一つで外国に行ってしまうとは!人が良すぎるとも思いますが、あの人なら新天地でまた人生をやり直せたろう、とも思います。主要登場人物が誰も死ななくてよかった。8年後に、ソフィアが生きていることをヤンが知れたのも希望があってよかったです。ヤン役の俳優さん、画家の役ということもあって?「タイタニック」の時のレオナルド・ディカプリオに似いちゅうなあーと思いました。

・観てみたいと思っていた作品だった。が、あまりにラストが都合良すぎる気もしたが−。原作もこの通りなのだろうか?と疑問を持った。息もつかせぬ展開はすごいと思った。(共にアンケートより)

Vol.233 「恐怖の報酬」
(ウィリアム・フリードキン)

2019/7/17
・始まりからラストまで、画面から心が離れることなく引きつけられる。4人の男達の各個性が際立ち(男性の)醍醐味を感じる。ラストのメキシコ人の女性の役割はハテ(?)

・期待よりずっと面白かったです。“ニトロをトラックで運ぶ”はずっと昔貸本屋で見たさいとうたかおのマンガでありましたが、原作ありきだったのですね。

・「少しのミスで即爆発」というシチュエーションは、無音状態に近ければ近いほど緊張感が出るが、本作は雨が吹き付ける音等、常に環境音が鳴り響いているので、一触即発の緊張感が薄い。それにクルーゾー監督のオリジナル版より30分短いので、先に観ているとどうしても展開の“ダイジェスト感”が否めない。

・以前のバージョンとはラストが違っていたが、ものすごい迫力に圧倒されました。こんなに心臓に悪い映画は初めてです。でも亡父と一緒に観た作品で、こわいけどとても想い出のある映画です。

Vol.234 「ロープ 戦場の生命線」
(フェルナンド・レオン・デ・アラノア)

2019/8/21
・シリアスな内容をシニカルにコミカルに描いていて素晴らしかった。音楽の効果がとても良かったです。

・とても意味深いストーリーをユーモアでケちらせた仕上げは実に小気味の良い映画でした。人間の作ったルールのもどかしさで苦しめられる者達がいなくなれば・・・と思うのですが、おろかな人間の業でしょうか?

・部外者が良かれと思ってやった行為がトラブルを産むこともあります。今回思ったことは、最悪の状況でもひるまずこらえて今できる最善の一手を考える、後は野となれ山となれですよ。

Vol.235 「天国でまた会おう」
(アルベール・デュポンテル)

2019/9/24
・予告編を見て、「オペラ座の怪人」とディケンズの小説を足して2で割ったような作品だろうと想像していたら、まさにぐいぐい引っ張るストーリーテリングの面白さで見せる作品だった。

・ラスト、エドゥアールが父親に向ける思いのこもった表情に打たれた。美しかった青い鳥の仮面は、父親との和解の後、窓から身を投げて自死してしまうことの予兆であったろうし、エドゥアールが肉体や心の呪縛から解放される自由の象徴でもあった。たてがみが紙幣で出来たライオンなど、それぞれの仮面に意味を見出せそうだ。

・口の聞けないエドゥアールの良き理解者であり、通訳もつとめるルイーズ役の少女は、監督が街角で見つけてきた女の子で、映画初出演なのだそうだ(主催者)

Vol.236 「幸福なラザロ」
(アリーチェ・ロルヴァケル)

2019/10/23
・どんな結末が待っているのか、一生懸命観てました。現代に聖人として生きるのは儚く、そしてそれが幸福につながると言うのですか、と考えさせられました。

・本当の豊かさとは何だろうと考えさせられた。過酷な状況下なのに楽しそうに幸せそうに見えたアントニオたち、ラストの銀行でのシーンの人々、どちらが人間らしいか。

・今年のシネマ・サンライズで一番おもしろかった。キャストの特に侯爵夫人の息子の変貌ぶりにビックリ。「万引き家族」も良かったけれど、「ラザロ」の方が更に面白かった。キリスト教をよく知らないので、わからない部分もあるけれど、移民の問題、健康に良いすばらしい油としてのオリーブ油の生産の現実、資本主義の問題などを背景に、映画としての面白さを構成していると思います。 (共にアンケートより)

Vol.237 「リヴァプール、最後の恋」
(ポール・マクギガン)

2019/11/20
・女性にとって大敵である「老い」「病」の両方見せつけられ、ある意味残酷な映画であり、でも切なくてよい映画だったが、個人的にはピーターの母親役の俳優が「リトル・ダンサー」の教師役だったため、「デ・ジャブ」のような感覚にとらわれたことが残念。

・初めの方は淡々と進み、寝ている人もいたが、途中から話に引き込まれていった。切なくて良かった。

・コステロ最高!! G・GはNYで一世一代の大芝居を打ったわけだ。

・チラシを見て何となく気になって観に来ました。とても良かったです。純粋なピーターの愛に、それに悩みながらもウソをつくグロリアに。

・主演の2人が良かった。音楽も良かった。アネット・ベニングは年々いい女優になっていきますね。 (共にアンケートより)

Vol.238 「希望の灯り」
(トーマス・ステューバー)

2019/12/18
・主人公クリスティアンが先輩従業員マリオンの誕生日に、小さなチョコの上にローソクを立てて贈った、自動販売機前の休憩スペース。背面に椰子の木の写真が貼られたその場所は、クリスティアンにとっての疑似パラダイスだ。恋する彼にとってそのわずかなスペースが、どんなに特別な場所であったか、カメラは限られたショットだけで雄弁に語りかけてくる。この映画は、東ドイツの作家クレメンス・メイヤーの短編集「夜と灯りと」の一篇を原作としているそうだが、冷ややかで詩情あふれるカメラは、映画を小説以上に文学的なものにしている。もちろん、ワルツのメロディにのってスーパーの店内をフォークリフトが行き交う優美なシーンも、映画ならではのもの。それだけに、二人の境遇の埋めようのない隔たりがズシリと重い。(主催者)

Vol.239 「芳華 youth」
(フォン・シャオガン)

2020/1/28
・歌や踊りで兵士を鼓舞する文工団を舞台にした作品と言うことで、若い男女の恋愛がらみの青春群像劇だろうと予想していた。監督も、脚本も書いた原作者も実際に文工団に所属していたことがあり、二人の思い出がストーリー中に散りばめられているそうだ。文工団は、文革終焉後に解散していることもあって、回想は報われなかった恋の痛みをともなってレクイエムの様相を帯びている。それは、多くの同世代の若者たちを無益な戦争で失っているからでもある。
どんなに困難な状況であっても、自分の過ごした十代、二十代の時間に人は愛着を感じるものだし、懐かしい郷愁とともに思い出す。それは、人種や国が違っても変わらないものなのだろうとこの映画を見て感じる。(主催者)

Vol.240 「COLD WAR あの歌、2つの心」
(パヴェウ・パヴリコフスキ)

2020/2/26
・白黒映像の作品全体が、冷徹でクールな印象の作品。ズーラの歌う、映画のテーマ曲とも言うべき「2つの心」は、ポーランドの民族音楽版も、英語の歌詞をつけられたジャズ・バージョン版も素晴らしかった。

・ズーラもファム・ファタールのような魅力があるが、ヴィクトルのハードボイルド小説の主人公のような冷静で感情を露わにしないクールさが、男臭い魅力を放っていた。

・大木の立つ田舎道、土埃をあげて過ぎるバス、廃屋となった教会。プロローグからエピローグへとつながる物語の円環の美しさに、悲劇的な結末ながら心打たれた。(主催者)

Vol.242 「おじいちゃんの里帰り」
(ヤセミン・サムデレリ)

2020/6/24(2020/4/22より延期して上映)
・トルコからドイツに移民した家族3世代の物語が、両親のドラマを中心にそれぞれの回想・空想・妄想を交えて自由闊達に語られる。込み入った作りなのに、語り口はあくまでも軽快・明朗であり、それでいて底が浅くない。映画を通して、多くの移民たちがドイツ社会を支えたという自負が浮かび上がる。脚本を書いたのは、女性監督とその妹らしいが、自分たちのファミリー・ヒストリーを語るというテーマがしっかりと押さえられている。

・映画が人を励ますというのは、本当のことだと思う。見ているときも、後から思い出しても幸せな気分になる映画というのは、稀だけれども存在する。本作がその好例だ。(主催者)

Vol.243 「北の果ての小さな村で」
(サミュエル・コラルデ)

2020/7/29
・ドキュメンタリーとして撮られた部分と、再現ドラマとして撮られた部分が合わさった映画のはずだが、どこが再現なのかわからないほど、両者がナチュラルに一体化している。

・白一色の世界の小集落チニツキラークの村、雄大なフィヨルド、白クマや潮を吹くクジラ、幻想的なオーロラなど、この地でなければ味わえない大自然の魅力が余すところなくとらえられていて、ため息が出るほど美しかった。

・カメラが本当に素晴らしいと思ったのは、フイョルドの海を漁に向う小舟が、日常的な生活感にあふれていて、目の当たりにする光景は違うものの、まるで土佐湾を行く漁船のように自然に感じられたことだった。そのあたりに、ドキュメンタリー作家としてのサミュエル・コラルデ監督の力量が感じられた。(主催者)

Vol.244 「彼らは生きていた」
(ピーター・ジャクソン)

2020/8/29
・ピーター・ジャクソン監督が、映画史の上でまたまたとんでもないことをやらかした。BBC放送の持つ膨大な第一次世界大戦の記録フィルムを渉猟、編集、着色し、もともと無声だったそれらに録音された兵士のインタビューを付けて、さながら第一次世界大戦がこの前あったばかりの戦争であるかのように甦らせている。戦場の場面は、悲惨な戦闘のみならず、食料、衛生、娯楽など多岐にわたって詳細に語られる。こういう生々しい記録フィルムを見れば、自分も戦争に行ってみたいと考える者は無くなるだろう。第一次世界大戦終結百年を記念して作られた作品。(主催者)

Vol.245 「巡礼の約束」
(ソルタンジャ)

2020/9/29
・チベット文化に根差した、五体投地という何とも厳しい巡礼の旅が描かれる。それも重い癌をかかえた妻がその旅を実行するのだから、夫ならずともハラハラする。旅が妻の前夫との約束を果たすためであることを知った夫の嫉妬は、妻を愛するがゆえに自然な感情だろう。妻の願いは途中で頓挫するが、巡礼は夫と前夫の息子に引き継がれ、血の通わない二人の間に心の交流が生まれる。普通の人の、勇気ある行動を描いた作品とも言える。(主催者)

Vol.241 「ガーンジー島の読書会の秘密」
(マイク・ニューウェル)

2020/10/28(2020/3/18より延期して上映)
・監督のマイク・ニューウェルは、代表作の「フォー・ウェディング」のようなコメディも、ジョニー・ディップが潜入捜査官を演じた「フェイク」のような緊迫のサスペンスも、「ハリー・ポッター 炎のゴブレット」のようなファンタジー大作もこなす多才な職人。

・本作は、上質のハーレクイン・ロマンスを思わせるマイルドな作品だが、第二次世界大戦中イギリスで唯一ドイツ軍に占領されたチャンネル諸島のひとつの島を舞台にしたミステリー物。行方不明の女性の失踪の謎を追ううちに、島に残された戦争の爪痕が浮かび上がる。イギリスの中高生にも、戦時下にそんな出来事があったという歴史を知るきっかけになればいい。今でも、当時ドイツ軍が建設した砲台が島に残っているようで、イギリスの戦争遺産になっていそうだ。

・ヒロインのジュリエットを巡って、編集者・軍人・農夫という3人の男性が出てくるが、寛容さ、華やかさ、誠実さを反映していずれの人物も魅力的だった。(主催者)

Vol.246 「シェイクスピアの庭」
(ケネス・ブラナー)

2020/11/16
・シェイクスピアなんて有名過ぎて、作品も読んでおらず、やや不安な心持で観たが、ワンシーンワンシーン美しい絵画のようで、また、それ以上のシェイクスピアの人としての苦しみや悲しみを如実に表してあり、本当の真実に行きつくまで集中力が途切れずに観賞できたと思う。

・シェイクスピアの作品をもっと知っていれば、味わいも深かったのかな。最後の詩が心にしみました。庭の全体が見たかったです。

・人間としてのシェイクスピアを知ることができた。女性が文盲であることが、悲劇を招くこと。あらためて男女平等の重要性を再認識した。(共にアンケート)

Vol.247 「僕たちのラストステージ」
(ジョン・S・ベアード)

2020/12/23
・年の暮れ、しかもコロナ禍の終わらない年末を、少しでも明るい気持ちで迎えたい・・という企画だった。

・年齢的にローレル&ハーディのコンビをリアルタイムでは知らないが、ふたりを演じたスティーブ・クーガンとジョン・C・ライリーという俳優を知ったことの方が収穫だったかもしれない。ステージでコンビの名コントを再現するとともに、人気の衰えたコメディアンの晩年の姿を、人間臭く味わい深く見せてくれた。イギリスまでふたりの身を案じてやって来る妻の相異なるキャラクターも面白かった。「あなたを抱きしめる日まで」のジェフ・ポープの脚本が光っていたと言える。

・時節柄、亡くなった志村けんさんの姿を想起しながらご覧になった方もいたようだ。(主催者)

Vol.248 「ヒキタさん!ご懐妊ですよ」
(細川 徹)

2021/1/12
・これもまた、新年を初笑いで迎えたいという企画。高知で日々のコロナ罹患者が二桁になる日が続き、不発に終わってしまった。(共催を呼びかけたシネマ四国さんには気の毒な結果になった。)

・ TV「孤独のグルメ」で人気の出た松重豊の初主演映画。子供が欲しいという妻のために妊活に奔走するアラフィフ男の姿を、ほどほどのリアリズムを交えながら軽妙に描いた作品。北川景子が、少し古風な良妻賢母型の妻を演じて、爽やかな印象を残す。ダメ精子の持ち主である主人公の作家の傍らで、会うたびに妻が妊娠している編集者・浜田岳の存在が可笑しかった。(主催者)

Vol.249 「ハニーランド 永遠の谷」
(リューボ・ステファノフ、タマラ・コテフスカ)

2021/2/17
・たんたんと自然とともに生きることにあこがれます。

・こんなに赤裸々にプライベートを撮れるのかと驚きました。あの女性は今どうしているのか・・。ハチが戻ってくるといいですが。

・一生、日焼け止め乳液などと縁のなさそうな主人公に、大変魅力があり、また、ハチミツも彼女が作る方がとても美味しそう!! しかし一方、子沢山の男性は、とにかく金にせねばならぬ状況は理解できる。まるでブルドーザーで畑を荒らすだけ荒らして去った感があるが、こちらも憎めない存在だった。(アンケートより)

Vol.250 「スウィング・キッズ」
(カン・ヒョンチョル)

2021/3/22
・「芸術の力」を改めて思い知れた作品でした。文化や境遇、過去、あらゆるものが異なっても、美しい、楽しいと感じる心は、人々を一つにする大きなエネルギーがあるということを学びました。

・コロナ禍での閉塞感を忘れさせてくれるような映像であった。観るこちら側もいつもの日常ではなく、また、内容も戦時下という非日常であっても、人間のエネルギーは枯渇せず湧き上がるものであろう。観客同士、会話をしたわけではないが、なにがしかの連帯感を感じた。(アンケートより)

Vol.251 「この世界に残されて」
(バルナバーシュ・トート)

2021/4/23
・ホロコーストを乗り超えて、父娘の感情を素直に出せるようになって落ち着いた生活を手に入れられた。素直に表現できる世界が続くことを願う。

・アルド役の人間としての優しさあふれる目つきがステキでした。

・俳優は魅力的だし、映像のやや暗いトーンも当時の雰囲気に合っていたと思うが、ラストの展開がいまいち盛り上がりに欠ける。何処か一点でも、我々をハッとさせるシーンが欲しかった。

・時代が変わっていくにつれ変化していくアルドとクララの関係性や心情が、切なくも納得できる絶妙なラインでした。同じ痛みを持ち、理解し合えるから一緒にいつづけたいという思いに感動しました。 (共にアンケートより)

Vol.252 「オフィシャル・シークレット」
(ギャヴィン・フッド)

2021/5/26
・こういう映画を作れて公開できることが、あたりまえに出来るのがすばらしい。

・何か大きな力を頂けたような思いがしています。観に来て良かったです。

・今回の映画は、観る前から自分にとってはハードルの高い内容と予測していた。しかし、レイフ・ファインズの演技に興味があり足を運ぶ。「レッド・ドラゴン」で救いようのない悪人を演じていたファインズも、程よく加齢し、それなりに味わいのある弁護士役であった。(共にアンケートより)

Vol.253 「在りし日の歌」
(ワン・シャオシュアイ)

2021/6/25
・久しぶりにじっくり、ゆっくり見られました。年の所以か話の前後、人の関係で解らないところ、誤解しているところがあるかもしれませんが、最後で大体頭の整理も出来ました。但し、映画の最後に出てきたシンシン(出て行った子供)と主演夫婦の関係と、一回の関係で子供を身ごもった女性(その子供)との関係にも?あります。

・暗くて貧しい労働者の話でいやだなあと見はじめましたが、ひきこまれました。冷たい厳しい国策に流されながらも生き抜く人たち。主人公は我が子が死んだ時もハオハオを守ってやれ≠ニ言う人格。あやまちもしたけど妻を思いやり、ハオハオの告白も受けとめた。人は毅然として温かくありたい! 最後の夫婦のおだやかな姿に救われます。(共にアンケートより)

Vol.254 「ぶあいそうな手紙」
(アイ・ルイーザ・アゼベード)

2021/7/20
・主人公のエルネストが大変魅力的。枯れた印象だが、心は枯れていない。少し規範からはずれたビアも、不思議な存在感で光っていると思った。後、映画の筋からは少し離れるが、エルネストの部屋の間取りや調度、洗面所の作りなど、その人の生きてきた歴史を感じられ、日本とはまた異なる豊かさを感じた。

・映画の中で流れて来る音楽が非常に良かった。

・心がほっこりして、優しい気持ちになれました。僕もエルネストみたいな老後を過ごしたいです。 (共にアンケートより)

Vol.255 「ある人質 生還までの398日」
(ニールス・アルデン・オプレブ)

2021/8/25
・シリアでISの人質となったデンマークの青年の過酷な日々と、救出に至るまでの家族の苦悩や結束、プロの人質交渉人の冷静沈着な活躍を描いた作品。実話を基にしており、救出された青年ダニエルは、今も報道写真家として活躍しているそうだ。監督の一人は「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女」を演出しており、本作もスリラーを思わせるような緊迫感に満ちている。

・アメリカが撤退したことでタリバン政権が復活し、アフガニスタンは現在混乱を極めているが、そのタリバンとも反目しており空港で爆弾テロを行ったのがISだった。その残虐さには恐怖を感じるが、狂信や洗脳に対抗できるものは、やはり幼い頃からの教育しかないのではないか。(主催者)

Vol.256 「キーパー ある兵士の奇跡」
(マルクス・H・ローゼンミュラー)

2021/9/15
イギリス軍の捕虜になっていたナチス・ドイツの兵士が、収容所内のプレーを見た監督からスカウトされ、地元のサッカー・チームから名門サッカー・チームのスター・プレーヤーになるという、実話を基にした物語。戦争の苦渋を乗り越える物語でありながら、主人公のトラウトマンを演じた「愛を読む人」のデヴィッド・クロスの健康的な清潔感、監督の娘であり妻となるマーガレット役のレイア・メイヤーの現代的な気丈さと愛らしさが、作品に清々しい余韻を残していた。(主催者)

Vol.257 「ある画家の数奇な運命」
(フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク)

2021/10/27
・ナチスの時代に、「優性思想」ゆえの理由で殺された人たちのことを(知識としては知りながら)全く考えたことがありませんでした。「脂とフェルト」の教授の言葉「お前は何者だ」の持つ意味、その重さ…ドイツ、それも東ドイツの人々の歴史を、また少しだけ見せてもらったと思います。

・主人公クルトの顔貌や佇まいが美しく、又、絵が仕上がってゆく過程も楽しめた。当時の政治状況などの知識が乏しい自分には多少理解困難な箇所もあり。幼少時のクルト役の子は秀逸。
・静かに力強くストーリーが伝わってくる映画でした。心に残った言葉は、クルトの叔母が言っていた「目をそらさないで」。それはデュッセルドルフの教授の言葉「きみのルーツは何だ」にも通ずる問いかけでもある。(共にアンケートより)

Vol.258 「フランス組曲」
(ソウル・ディブ)

2021/11/24
・力強い、勇気の持てる映画。でも切ない・・。緊張感あふれ、一気に観ることができた。俳優も素晴らしい。

・戦争の悲惨な状況、人々の気持ちなど、色々なことを感じさせられる作品で切なくなりました。そして、何よりもアウシュヴィッツに送られた作家の残したという貴重な作品に出会えたことに感謝です。

・出会いの設定は、よくある例・・・と思いつつ観ていたが、次第に惹きこまれ、ラストまで一気に心を持っていかれたように思う。ラストのブルーノ中尉の判断、厳格ながらも、少しの人間性も感じられた。義母の役割も見事だったと思う。原作を読んでみたい。(共にアンケートより)

Vol.259 「パブリック 図書館の奇跡」
(エミリオ・エステベス)

2021/12/22
・シドニー・ルメット、ジョージ・クルーニーなどの硬派な社会派サスペンスに比べると、いささか食い足りない気はするが、エンタメに寄せたギリギリ社会派映画として楽しめた。
ホームレスたちが鎮圧に来た機動隊を素っ裸になって迎えると言うラストは、いささか突飛に見えるかもしれないが、裸で無抵抗の意志を見せることで、図書館の不法占拠の咎めは受けても、流血の暴力沙汰になることも、公務執行妨害に問われることも無くなったわけで、彼らの罪を重くしないためには理にかなった方法だったのかもしれない。序盤に、裸になった一人のホームレスが館内で踊っていて、ガードマンは手も足も出なかった、という伏線のエピソードが置かれていた。それにしても、ホームレスを連行する際、毛布くらいは着せるのでは・・と突っ込みを入れたくなる。(主催者)

Vol.260 「チィファの手紙」
(岩井 俊二)

2022/1/14
・日本の監督が、中国で向こうの俳優たちを使って中国映画を撮りあげたという、昨今の日中関係の悪化を考えれば、文化交流面で画期的な意義を持つ作品。中国側のプロデューサー、フルーツ・チャンが岩井俊二監督に惚れ込んでいればこそ、実現した企画だった。
前作とも言うべき「ラストレター」のように、学校や手紙、本へのノスタルジーに溢れる作風なので、階段の踊り場で中学生のチャンがチィナンから、卒業式のスピーチを作るのを手伝って欲しいと頼まれるシーン、教室でスピーチの練習をする彼女をチャンが見守るシーンが秀逸だった。
「大人になったとき自分の夢を実現できている人もいれば、実現できない人もいるかもしれない。それでも私たちの未来には等しく可能性が与えられている。」という内容のチィナンのスピーチは、映画の中で何度も繰り返され、過ぎ去った日々への深い鎮魂のようにも響いて来る。(主催者)

Vol.261 「サンドラの小さな家」
(フィリダ・ロイド)

2022/2/22
・映画に登場するのは、サンドラや子どもたちも含め現実のどこかに居そうな人たちばかり。そのリアリティが卓越しているのは、主演もしているクレア・ダンの優れた脚本に依る。DV被害者のサンドラ、家を持たず仲間と廃屋に暮らす職場の同僚、ダウン症の息子を抱える建築士・・それぞれ事情を抱えた隣人・知人たちが、何の報酬も求めずサンドラの家づくりを手伝う。そこに、一つの目標に向かう仲間意識が育まれ、コミュニティのような交流が生まれる。もともとアイルランドには、皆で集まって助け合うメハル≠ニ呼ばれる精神文化があるそうだ。

・原題は「herself」となっている。DV被害者の女性、子供をかかえてワン・オペで生きる母親たち、あるいは現代を生きる女性全般に対し、誰かに自分の人生を損なわれたり、奪われたりするのではなく、あなた自身の人生を生きて欲しいという励ましのメッセージが込められていそうだ。(主催者)

Vol.262 「春江水暖」
(グー・シャオガン)

2022/3/23
・監督のグー・シャオガンは1988年生まれの、まだ30代初め。絵巻物のように、カメラが横や縦にゆるやかに移動する静謐な画面作りは風格さえ感じさせるが、本作で長編第一作という中国の俊英。

・パンフレットを読むと、主要な登場人物の四兄弟とその妻は、監督の父方・母方の叔父やその妻であり、職業的な俳優は、母親と孫娘のグーシー、その恋人のジャン先生しかいないことがわかり、驚かされる。実際に料理店をやっている伯父に中華飯店主を、漁師をしている叔父に漁師を演じてもらっている。この映画を生きる人々から感じた、ことさら暖かいわけでも冷たいわけでもない、ザラつくような人生の手触りのようなものは、出演者一人一人が実人生をなぞることで醸し出されたものだったのか。

・エンディングで「巻一完」と出るのは、変貌する富春江に臨む杭州市富陽区の物語を三部作で撮るつもりらしく、実際に年を重ねていく出演者たちの歴史も今後の作品に反映されていくことだろう。(主催者)

Vol.263 「ライド・ライク・ア・ガール」
(レイチェル・グリフィス)

2022/4/27
・オーストラリア映画だが、豪州の強い日差しを感じさせるような明暗のくっきりした陽性の作品だった。主人公の女性騎手ミシェル・ペインが、男女差別や落馬によるケガなどを克服してメルボルン・カップで優勝するまでを縦軸として描く。そして、横軸は一貫してミシェルの父恋物語である。ミシェルの一家は、父は調教師で兄たちは皆騎手という環境で、ミシェルも騎手になることを志す。しかし、彼女の母親は幼い頃に交通事故で亡くなっており、兄弟も落馬事故で突然亡くなったりする。これ以上家族を失いたくないという思いの父親は、ミシェルを騎手にしたくない。だから、ラジオで娘のレースを聞くことはあっても、競馬場へ見に行くことはしない。ミシェルとしては、兄妹の多い中で、父親に自分を認めてもらいたい、褒めてもらいたいという強い気持ちがある。そのはやる気持ちが落馬による大怪我を招く。再起不能と思われた彼女だったが、厳しいリハビリに耐え抜いてレースへの復帰を果たす。メルボルン・カップ優勝の栄光をつかんだ後、父親から「誇らしい娘だ」と肩を抱かれて二人で歩くラストシーンは、幸福感に包まれていた。(主催者)

Vol.264 「台北ストーリー」
(エドワード・ヤン)

2022/5/25
・後年、台湾ニューシネマの旗手の一人となったエドワード・ヤンが盟友の監督ホウ・シャオシェンの協力(製作・主演)を得て作った監督第2作目。当時、台湾にも日本映画は輸入され、人気を博していたと思うが、80年代の日本映画を思わせる、若者の閉塞感と刹那的な生き方を、エドワード・ヤンらしい冷徹な視線で描いた作品。「クーリンチェ少年殺人事件」「カップルズ」にも共通する、人生はどんな風に転ぶかわからないという、人の世のままならなさ、不条理を描く。経済が発展し社会が変貌していく中で、女は実直に働いて自分の巣を作ろうとするが、男は古い義理人情を重んじるくせに、いざとなったら酒や博打に逃げて生活力は乏しい・・アメリカで暮らしていたエドワード・ヤンが、海外から見た当時の台湾人気質もうかがえそうだ。(主催者)

Vol.265 「ヒトラーに盗られたウサギ」
(カロリーヌ・リンク)

2022/6/22
・つらい亡命生活だけれど、家族が一緒にいられてよかった。戦争という理不尽さを痛感した。

・お父さんの考え方が素敵だ。つらい事でも考え方次第。「いろんな所に家があるのもいい」というのがとてもいい。つらくて苦しい状況でも、ユーモアや家族の愛情があるからアンナもマックスも強くしっかりしていられたのだろう。観ていたら、自分もちょっとやそっとの苦しさは、楽しさを忘れず乗り越えられる気がする。限られた時間やお金を大切に使いたいと思える。

・今のウクライナ情勢と重なる所がとても心苦しかった。とりあえず、イギリスで生きのびることができて良かった。 (アンケートより)

Vol.266 「ロスバンド」
(クリスティアン・ロー)

2022/7/29
・こういう明るく気持ちのいい映画に飢えていました。風景もきれいで人々がいかにも悪気がなくて。それにしても、ハードロックやメタルが一般的に根付いている感じでいいものを見たと思いました。アンサンブルとして、キャストが皆好演していたのもGood!

・自然なノルウェー語が聞けてよかった。車道が意外と狭い。カーチェイスのシーンで、大人がやけになっておかしかった。「スクール・オブ・ロック」と「スタンド・バイ・ミー」が融合した作品だった。

・景色とチャーミングな4人とロック!! フェイバリットが揃ってる!!ティルダちゃんがすてきでした。

・グリムとアクセルのやり取りが大変良い。二人の信頼関係があるからこそ、アクセルは立ち直れ、自分の音痴を受け入れる気持ちになれたと思う。運転手役のマッティンが魅力あるキャラクターになって、全体の引き締め役となっている。薪割りをしていたかつてのスターも、少しは明日を信じてくれたらよいが・・・と思う。 (共にアンケートより)

Vol.267 「ジュゼップ 戦場の画家」
(オーレル)

2022/8/24
・一度観ただけでは理解が追いつかないところがあったので、当時の時代背景をしっかり踏まえたうえでもう一度観てみたいと思った。

・収容所の場面の背景が、日本の水墨画、浮世絵の感じがした。場面のつなぎがユニークだった。日本のアニメーションとの違いが垣間見えた。

・日本のアニメと違って背景の線とかが大分省略されていて、実際の収容所がどんなだったか?少し分かりにくかったです。実写映画ではないので仕方ないですが。戦争がきっかけで難民になった人は収容所に入れられる。収容所では人間らしい扱いをされない、というのは時代が変わっても、どこの国でも同じなんですね。

・戦争時の極限の状況にあっても正気を失わず、目をそらさずにいられたことがジュゼップの素晴らしさだと思う。絵を描くことも、平静を保つ力になったのだろう。 (共にアンケートより)

Vol.268 「英雄の証明」
(アスガー・ファルハディ)

2022/9/28
・イランの日常生活、家庭、今の社会が見れて収穫があった。考え方の違う人間の衝突、まさに今のネット社会だなと。今のイランは、ヒジャブのつけ方で議論になっているし。

・父が街中を(お金の)落とし主をさがして歩くシークエンスで、「自転車泥棒」を想い出していました。

・わずかながら希望を持って(刑務所から)外に出た最初から、どんどんじわじわと悪い方に転がり、最後は汚名だけが残ったまま務所に帰る。すごく後味の悪い映画だった。(もちろん、それをねらった映画なのだろうけど)

・観る側にとっても残酷な映画だった。これまでの一家の不幸を、少年の瞳が全て表していて切なく、ラストの晴れて出所できた男と迎えの妻らしき映像を対比させたシーンは切ない。少年の演技は絶品。

Vol.269 「モロッコ 彼女たちの朝」
(マリヤム・トゥザニ)

2022/10/26
・女性にとっては、上映中ずっと息づまる緊張感があった。いつ陣痛が始まってもおかしくないお腹で、どうなるやらと。産まれたら産まれたで・・・。ラスト寸前、母親となった主人公が(母として生きる選択)をしてくれたようで、心からホッとした。苦難には違いないが、何とかして生きて欲しい。又、パン屋の店主も、押さえつけていた「何か」から少し解放されたようで、こちらもよかった。ワルダの明るさと可愛さが救いだった。

・これほど女優さんたちを信用して作った映画は珍しいと思いました。映像、光が美しくてフェルメールの絵みたいだったり、赤ちゃんがとても可愛かったり。静かな映画を楽しんで観ました。

・二人の女性が、少しずつお互いを理解し、人生をより楽しい方向へと選択するプロセスが描かれとてもよかった。音楽もよかった。おいしそうなパスタを食べてみたくなった。

Vol.270 「サマーフィルムにのって」
(松本 壮史)

2022/11/24
・こんなにも「好き!」なものがあるっていいなあと、素朴にうらやましく?なりました。若い人たちの物語なので、初々しくみずみずしいのもgood!みんな可愛くて観ていてとても楽しかった。それにしても、本格的な時代劇に見えて、すごいなあと(驚)

・瑞々しい青春、セリフがウイットにとんでいて、おもしろかった。自分も時代劇オタクなので、時代劇特有のシーンがあって興奮した。ツッコミどころがあった。

・思い切り青春していて、とても楽しかったです。出演者のうち河合優実さんはつい先日見た「ある男」にも出演されていましたが、ずいぶん印象が異なりましたね。

・私事で恐縮ながら、子どもが映研サークルで奮闘していた時期があり、親しみを持って観られた。不器用そうだけどガッツはある、弾けるような感性のハダシが光っていたと思う。ラストは意外な展開であったが、納得できる。しかし、勝新太郎も愛されたものだ・・・。

Vol.271 「ディリリとパリの時間旅行」
(ミッシェル・オスロ)

2022/12/21
・ものすごくよく出来たアニメでびっくりでした。絵柄も背景のパリもものすごく美しかったです。アニメもCGやモーションキャプチャーを使った最新鋭の技術で良かったですね。

・映像の美しさはもとより、ディリリのまっすぐな愛らしさ、賢さにぐんぐん惹きつけられあっという間の時間。歴代の芸術家や作家が出て来るのも面白く、個人的にはM・プルーストの登場が嬉しかった。買収された警備員が、ディリリのために協力するのが痛快だった。

・技術の高さ以上に美的センスに圧倒されるようなアニメーションでした。ロートレックやエッフェル塔、飛行船etcの、あの時代のパリ見物をディリリと一緒にしたみたい。

・人生のベスト50に入ります。宝物のような作品。

・遊び心全開だった。浮世絵が出て来て、ちょっと日本びいきの所も、さすがフランスだなと思った。登場人物、風景も斬新だった。

・テーマが予想以上に深かった。もっと多くの人が見て欲しい。(共にアンケートより)

Vol.272 「君を想い、バスに乗る」
(ギリーズ・マッキノン)

2023/1/25
・年老いてボロボロの身体で何になぜ向かっているのか? カバンの中に入っているものは何か? 秘密を考えながら見入ってしまいました。淡々とした流れの中にいろいろな人間たちが描かれていて、味わい深い内容でした。さすが英国、70年前と変わらないレストランやホテルが残っているのがすごいです。

・途中、痛々しくも感じたのですが、バス=人生のようで、親切な人もいればそうじゃない人もいる。でも、こんなに1人の人を愛し続けられるなんて、うらやましく感じました。(最後は、じんわり)

・久しぶりに家ではなくスクリーンで観るべき映画に出会った気がして満足しました。思っていた以上に主人公の気持ちがそのまま伝わってきて、(自分が)年をとるのもいいな・・・とか思ったり。スコットランド→イングランド→ウェールズの変化も面白かったし、イギリスの人たちの「(何か事情はよくわからないけど)あなたの望むところがかないますように」という相手の尊重の仕方(敬意)もいいな・・と思いました。

・何故老いの身を運んでバス旅をするのか?・・が映画が進むにつれ段々わかってくるのが切ないが、何処かにユーモアも感ぜられ、観終わってから大変温かい気持ちになった。劇中、主人公がアメージンググレイスを歌うのも、ウクライナの人に助けられるのも、この物語の大切な要素と思われる。

Vol.273 「メアリーの総て」
(ハイファ・アル=マンスール)

2023/2/22
・ずっと前から見たかったので、見れてよかったです。エル・ファニングは同い年で、好きな女優なので。「フランケンシュタイン」の誕生秘話が、メアリー・シェリーの実体験から生まれたとは。特に、絶望から名作誕生するとは。

・観ながら、前半、何でこのようなゲス男につかまるのかと腹を立てながら・・。ラストでは再び信頼関係が戻るようだが・・。クレアのように、これといった特技も無く、男性に頼るのみ(翻弄されながら)というスタイルは、あの時代の象徴であったとしても。メアリーの生涯と、あのフランケンシュタインを産み出した・・・というのが、いまいち私の中では繋がらず。

・昔々、学生として「フランケンシュタイン」を原文で読まされた時には、シェリー夫人(と思ってた)がどうしてこんな怪奇小説を書いたんだろ・・って不思議でした。でも、あの小説のモチーフはその後もいろいろな形で様々な作品になっていて、それも何だか不思議で・・。今日この映画を見てはじめてクリーチャー(怪物)≠フ意味に気づかせてもらい、「フランケンシュタイン」のイメージが一変しました。映像も美しく、シェリーやバイロン(ロクデナシ男たち)も「創作する」「書く」人としてはマトモな扱いを受けていて、端正な映画だったと思います。(共にアンケートより)

Vol.274 「ボイリング・ポイント/沸騰」
(フィリップ・バランティーニ)

2023/3/22
・大変面白かった。一流レストランと評される所ほど、裏側ではさまざまな葛藤があるのかと。高慢なオーナー女性や、黒人であるがために客テーブルにワインを持っていっても冷たくあしらわれるスタッフや、やはり黒人である下働きの皿洗いに至っては、薬に頼りちっとも働かない・・など。あげくにアレルギー情報の伝達ミスで、客がアナフラシキー・ショックを起こしたり・・何とも、床一枚の下は火が燃え盛っているような映画だった、シェフの相棒女性シェフの役が光っていたと思う。

・オープニングからワンカットのカメラワーク、サウンドは店内の音楽、音響、厨房のピリピリとしたムード、シェフの内面、クセのある同僚や客、話の展開などすべてがよかった。ハプニングのタイミングも。

・今まで観た料理・厨房の映画の中で、最も興奮させられた。ワンショットが、観客を登場人物の一人に誘い込む仕掛けになっていて、まるで自分もその場にいるかのようだった。

Vol.275 「ベルリン・天使の詩」
(ヴィム・ヴェンダース)

2023/4/17
・難解だけどメルヘン。初公開以来35年振りです。ずーっと見ていられる不思議な陶酔感。ピーター・フォークの登場が微笑ましく、カラーでのバーのシーンの美しい事! ヴィム・ヴェンダース、現役で役所広司主演作も待機中。楽しみです。

・劇中にフィリップ・マーロウの有名なセリフが出てきたり、ピーター・フォークがコロンボそのものの役で出ていたり、遊び心もあって爽快感あり、滋味のある映画だと思う。ダミエルはマリオンと愛をはぐくめそうになるが・・・どうなるのだろうか。天使は死ぬらしいのに(?) ブルーノ・ガンツなる人は初めて見たが、子どもたちを見つめる瞳がいい!!

・高校生の頃見た時は、この映画の良さがよくわかっていなかった。今回あらためてスクリーンで見ることができて、映像、音楽、セリフの一つ一つが心にしみました。ニックケイヴもなつかしくステキでした。(共にアンケートより)

Vol.276 「ファミリア」
(成島 出)

2023/5/24
・残念ながら、今回は自分の中で消化しきれない?が残り、役所広司やブラジルの若者らの熱演は認めるものの、吉沢亮が何故か浮いて見えてしまった。ブラジル人を追いつめるリーダー格の男も、冷酷な感じはよく出ていたと思うが・・。マルコス役の演技は光っていたと思う。

・「大変良い」にできなかったのは、あまりに暗い(理不尽さ≠ェ次々と出され、しかもそれらは、ほとんど解決がありえないように見える)ストーリーに、ちょっとめげてしまったからです。明るさを感じさせるラストも、あのあとどうなるかわからない・・に見えてしまって。でも、役所広司が驚くほど自然体(カリスマ性を消してる)に見えて感心しました。

・観ていて辛く目をそむけたくなるシーンもあったが、こういうことが現実に起こっているんだと考えるきっかけになった。最後の終わり方も良かった。・日本人の人権感覚の欠如が、ブラジル人に暴力をふるい、搾取しつづけていいかのようにふるまうのだと、とても哀しく情けなく思った。(共にアンケートより)

Vol.277 「小さき麦の花」
(リー・ルイジュン)

2023/6/28

・久々に心にしみる映画を見せてもらいました。貧しく、でもつつましく、いたわり合う。ほんとうの幸福とは? 考えさせられます。

・クイイン役のハイ・チンの、徐々に生き生きとした表情になっていく演技が良かった。「自然は平等だ」という劇中の台詞にあるとおり、幸も不幸もフラットな距離感で描かれているのも良い。

・「小さき麦の花」は本来の人間の生き方を示してくれる映画だ。土を耕し、種を蒔き、取り入れ、その材料を使い食べ、次の種を手に入れ、耕す・・・。身体に障害のありそうなクイインも、文句一つ言わず従順に働く姿や、これまた貴重な働き手であるロバの忍耐強さも胸が熱くなる。ラストに鐙(あぶみ)を外されて自由になったにも拘わらず、傍を離れない姿は涙が出た。夫婦が力を合わせて作った家も、文明の力でいとも簡単に毀され、時代に翻弄される主人公が切ない。「BMWよりロバの方がずっと賢い・・」全てを言い表しているセリフと思う。

・手に小さな麦の花をつくるシーンと、庭に鶏がいてごはんを食べるシーンが好き。貧困は過酷。でもあんな風に愛されて幸せ。 (共にアンケートより)


Vol.278 「アンネ・フランクと旅する日記」
(アリ・フォルマン)

2023/7/26
・アンネの日記は読んだことがあったけど、またあらたな視点でとらえられた。

・アンネ・フランク一家が隠れ家に入る直前に、父に髪を撫でられながら「お前の美しい想像力が、これからの人生の助けとなる」みたいなことを言うシーンは、この映画の一本の筋ではないだろうか。人には記憶というものが与えられており、それがその人を救う道になると考える。もちろん、良い記憶ばかりでなく、忘れたいことも多々あるのだが、少なくとも同じ轍は踏まぬよう気をつけることは可だ。また、想像力も自分や人を救うことが出来ると信じている。最終的には、ガス室でその短い生涯を終えるのだが、日記を書ける能力のあったアンネは、最後まで自分を信じていたに違いない。今は、ネットなどで情報が溢れ、想像力を育てる暇もなさそうだけど、いやいや人の予め持っている力はそんなヤワでないと信じたい自分である。(共にアンケートより)

Vol.279 「みかんの丘」
(ザザ・ウルシャゼ)

「とうもろこしの島」
(ギオルギ・オバシュビリ)
※2本立て

2023/8/16
・「とうもろこしの島」はよくわからない部分もありましたが、でも先にそちらを見たお陰でアタマの中に手でさわれる現実の世界≠フ素地ができて、その後「みかんの丘」を見るとき、その味わいがさらに深くなったのだと思います。どちらも(戦争を描いているにもかかわらず」落ち着いて、どこかで人としての安心感≠フようなものを感じながら観られて、辛いけれどしみじみと良い映画だと思いました。

・「とうもろこしの島」:ナゾが多い映画。助けた兵士はどうなったのか。洪水となる時が予想できないのか。寝具はもっと早く搬入されるべきでは。私はとうもろこしの実が画面で見つけられなかった。淡々と生きる、心ひかれる映画。
「みかんの丘」:馬鹿な人がいるから(最後の斗いで最後に撃ち殺された男)、戦争がなくならない。ジョージアの映画は素晴らしい。

・ジョージア映画を初めて観た。ジョージアの内戦のことは少しは知っていたけれど、家に帰ったらジョージアのことを調べよう。(お相撲の栃ノ心ってここから来たんだ、と何故か思いうかんだ。)「土地は耕す者のもの」という言葉が胸に刺さる。全ての兵士がちゃんと家に帰ることができますように。

Vol.280 「彼が愛したケーキ職人」
(オフィル・ラウル・グレイツァ)

2023/9/20
・何ともせつない映画でありました。オーレンの奥さんのアナトが、未亡人の顔から恋する女の顔に変わっていくのが良かったですね。トーマスの作った「黒い森のケーキ」がおいしそうでした。

・以前、女性同士の愛を描いた映画を観たが(画家とそのモデルになった女性)、その時は受け入れがたい気持ちだったのに、今回は全く抵抗なく観賞出来た。多少なりともパンやお菓子を作る私は、その手つきに魅せられ(「黒い森のケーキ」の絶品さ!味わってみたい)、何より主人公トーマスが魅力的。また、エルサレム独特の習慣など、初めて知ることもたくさん有り。パンフレットにあったように、肉と乳製品を一緒に食べてはいけない。アナトの店で働くようになったトーマスが、厨房の扱いについて説明を受けるとき、シンクも必ず別になっており、一緒くたにして洗ってはいけないと説明するシーンもあった。

 結局2人は別れるであろう・・・という印象を残すラストも秀逸。

Vol.281 「テス」
(ロマン・ポランスキー)

2023/10/25
・実はこの映画は、20代前半、社会に出たばかりで世の中のことを何一つ理解できていない時に観た。40年たち、今、改めて観賞し、「何と辛い映画!」と感じた。女性の自立は望むべくもない時代・・・。男のエゴにふり廻され腹立たしいシーンも、昔は感じていなかった。そもそもテスの両親も知的とは言い難い人々であり、テスが他の生き方を学べなかったのも致しかたなかったか…。女は男の愛玩物ではない!と声を張り上げてみたところで、時代の空気に勝つのは容易ならざることだとも少しわかる。

・米国高校留学中(1980〜1981)に当時数多く映画館通いした中でも記憶に鮮明な秀作の再上映、誠に有難うございます! フィリップ・サルドの哀歓漂う音楽はずっと耳に残る大好きな曲です。昔を懐かしんで観ました。

・今40才ですが、10代のときに「テス」を知って、見たいと思って年数がたちました。やっと見ることが叶います。現代の感覚で見ると、どっちの男性もイヤだなとか、悪役としているけど実はアレックみたいな人は恋愛ものによくいるヒーロー像でもあるよなと思うけど、新興や階級意識とかいった根底にあるものを深いところで理解できていないかもしれません。(共にアンケートより)

Vol.282 「潜水艦クルスクの生存者たち」
(トマス・ヴィンターベア)

2023/11/29
・一言で言うなら、深い憤りの後に(この世は)信頼に価すると信じさせてくれる映画だったと思う。家族との記者会見で無慈悲な言葉を放ち、なおかつ英国からの助力を拒否したリーダー(プライドと秘密保持?)が、ラストに遺族となった子供らに握手を求め、ミハイルの子がじっと相手を睨み拒否するシーンは胸痛む。彼は、今後ずっと憎しみや悲しみの世界の中で生きていくのか・・・と思い。しかし、生前ミハイルが借金のカタに仲間に預けた腕時計を受け取り(このシーンはなかなか感動的だった。)再び歩き出す。

・つらい結末でした。いつの時代でも自国の兵士の命を粗末にする国は必ず滅びる。ロシアのまぬけっぷりは目を覆うばかりで、現在のウクライナ戦争でもそうですが現場のロシア兵は気の毒なかぎりです。潜水艦の内部のセットは良くできていましたね。(共にアンケートより)

Vol.283 「屋根の上のバイオリン弾き物語」
(ダニエル・レイム)

2023/12/20
・何回か観た「Fiddler on the roof」のシーンや音楽が懐かしくよみ返りました。また、背景なども分かり、興味深い映画でした。

・個人的に、映画の裏側を見るのが大好きで、楽曲製作、配役を知ることができてとても良かった。帰ってさっそく「屋根の上のバイオリン弾き」を観ようと思った。

・私事ではあるが、亡くなった長姉が、森繁久彌の「屋根の上のバイオリン弾き」の舞台を見て感激したと聞かされたことがあり、以来気になり、数年前映画版のDVDをレンタルして本編を観た。今回は、当時の監督の思いや女優たちの想い出などが散らばり、大変興味深かった。生きるということや自分のルーツに忠実であることの意味が切ないほど掘り下げられていた。娘役の1人だった、今は老女優が語る、鼻にまつわるバーブラ・ストライザンドを引き合いに出したエピソードが面白かった。

Vol.284 「愛する人に伝える言葉」
(エマニュエル・ベルコ)

2024/1/31
・心にしみました。時がゆっくり流れていて、とても人が大切にされていました。あのように皆の心が結ばれて、死を迎えられたら素晴らしいと思います。

・何十年ぶりのドヌーブ、きれいでした。びっくり!!(私も)70才も過ぎ、終活を考えるお年頃。いい選択ができるよう考える機会となり、ありがとうございました。

・うそをつかないこと。赦して欲しい、赦します、愛してる、ありがとう、さようなら。覚えておきたい言葉です。

・「死を許可する」、日本では聞きなれてない言葉が出てきた。やがて末期を迎えるであろうバンジャミンに対して、何度もカンファレンスが持たれる。日本ではDrもNsも忙しすぎて、あそこまでお互いに話し合えるか・・・? とにかく死≠忌み嫌う日本では、やたらと「がんばって!」とか「死なれん(高知の言葉)」など声をかけてしまうが、どうなのだろう。私も仕事柄多少死に立ち会ってきたが、患者さんらは自然に己の死を悟るものであると思う。多忙な中、あそこまで患者の立場やその人なりを考えられるエデDrは凄いとは思うが・・・。

Vol.285 「アウシュヴィッツの生還者」
(バリー・レビンソン)

2024/2/28
・余りにも苛酷な人生を歩かなければならなかった主人公に言葉も無い。収容所時代にボクシングでけしかけた(煽った)ドイツ軍兵士の眼は半分以上狂っていたと思う。主人公の受けたトラウマが、後々の結婚生活にも影を射すが、妻が忍耐強くよく耐えて、主人公を支えてくれ救いがあったし、最初の恋人レアとも再会出来、観ていて心からよかったと思った。

・バリー・レヴィンソンは大好きな監督の1人で、監督自身もユダヤ系であり、ハリー・ハフトに感銘を受けたか、信念が伝わった。ベン・フォスターの役作りは、まるで「レイジング・ブル」の時のデ・ニーロを彷彿させるようだった。ハンス・ジマーの音楽が、物語に深みを増していた。

・ドイツのフランクフルト空港近くに、ユダヤの亡くなった人たちのパネルや顔が足元に埋め込まれていたことを思い出します。アウシュヴィッツの他にも隣国に収容所があり、常に建設をしていたのでしょうね。日本人は戦争をした国で色々と問題を残したままなのを、もっともっと若い人たちは歴史として知るべきだと思いました。(共にアンケートより)

Vol.286 「燃え上がる女性記者たち」
(リントゥ・トーマス&スシュミト・ゴーシュ)

2024/3/22
・今のインドについては、情報がほとんど届いてこない日常で、それが気になっていました。今回のドキュメンタリーでその一端を垣間見られてよかったです。女性ジャーナリストたちは、命がけの仕事だとひしひしと感じました。「教育」の重要性も。偶然もあるだろうし、意図的な面もあるかもしれませんが、「映っているのは男性ばかり」という情景の異様さも。

・取材記者も命がけですが、この映画を作ったスタッフも大変だったと思います。がんばれ女性記者。我々外国の人間がこの映画を見ることが、「カバル・ラハリヤ」の発展につながる。

・21世紀になっても、今だに残っているカースト制度の現実、地方の発展が遅れているなど、インド社会の現実が垣間見えた。カバル・ラハリヤの記者たちは、呑み込みが速いなと思った。スマホの扱い、SNSなど。(共にアンケートより)
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